私たちの身体に備わっている器官系の1つである神経系は中枢神経系と末梢神経系の2つよりなっている。特に神経細胞が密集している中枢神経系は、頭蓋腔の中に収まる脳と脊柱管内を走っている脊髄より構成されている。
神経系
nervous system |
中枢神経系
central nervous system |
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末梢神経系
peripheral nervous system |
脳脊髄神経系
craniospinal nerve system |
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自律神経系
autonomic nerve system |
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副交感神経 parasympathetic nerves |
末梢神経にはいくつかの分類方法がある。
神経線維が出入りする部位により脳神経と脊髄神経に分類できるが、それ以外にいくつかの分類方法がある。
そして、それぞれの神経線維には遠心性と求心性が存在する
また、体性線維を動物性神経(線維)、そして臓性線維を植物性神経(線維)と呼ぶこともある。つまり以下のことが言える。
「日本人体解剖学 (上巻) 」では以下のように解説している。
「末梢神経系は、神経細胞のほかに、神経膠細胞の一種であるシュワン細胞と外套細胞からなる。主として神経線維の束からでき、一般にこれを単に神経(nerve)と呼ぶ。多くの神経線維(軸索)はシュワン細胞によって取り囲まれ髄鞘をもつ。神経は直接あるいは間接的に中枢神経系から起こり、多くは側枝すなわち交通枝を出して網状の神経叢(plexus)をつくり、そののち再び分岐しつつ抹消に至り、最終的に所定の器官に至る。その経過中にしばしば神経細胞の集団からなる膨大部、すなわち神経節(ganglion)がある。交感神経幹と脊髄神経は交通枝によって連絡される。
神経は、その機能に従って、運動神経、知覚神経、分泌神経などに区分される。また、その分布領域に従って、筋枝、皮神経(皮枝)、関節神経などと呼ばれる。 」
そして、以下は「船戸和弥のホームページ」の解説文となる。
「末梢神経系は脳神経および脊髄神経から根束をなして末梢に行く神経の末梢部分。神経節・感覚神経・自律神経そして神経線維を派出する神経叢を含む。その内部には疎性結合組織に囲まれた個々の神経線維(軸索)が多数含まれる。
脳神経は12対存在し、いずれもが脳からでて頭蓋底の諸孔を貫いて走り、頭頚部に達して達している。ただし第10番脳神経である迷走神経だけは、頭頚部以外に胸腹部にも分布する。
脊髄神経は31対存在する。これらは脊髄をでてから脊柱の椎間孔を通り、末梢に達する。どの高さの椎間孔を通るかによって、脊髄神経を8対の頸神経、12対の胸神経、5対の腰神経、5対の仙骨神経、1対の尾骨神経に分類する。頸椎 の数が7個しかないのに頸神経が8対存在することと、尾椎の数が4個にも関わらず尾骨神経は1対のみであることなどに注意を要する。
発育過程における脊髄の伸長速度は、脊髄を収容している脊柱管のそれよりも小さいので、発育を終えた成人での脊髄下端が第1腰椎体の下縁に位置している。この伸長差を補うために、脊髄を出てから脊椎管壁の椎間孔に至る脊髄神経前・後根の走行距離が回の脊髄神経ほど長くなる。すなわち上部頸神経の前・後根は脊髄を離れてからほぼ水平に向かう短いものであるが、腰神経や仙骨神経の前・後根は脊髄下端を越えて垂直に下行してから初めて目的の椎間孔に達する。このような下行根群の全体は馬の尾に似た形であるために、馬尾とよばれる。すべての脊髄神経は2つの根、すなわち前根と後根をもって脊髄と結合している。
【前根】は中枢神経から末梢に向かう刺激を伝える神経線維(遠心性線維)で構成されるが、これらの線維の内で骨格筋に達して収縮を引き起こすものは運動線維とよばれる。運動線維の起始細胞体は脊髄の前角に存在する。
【後根】は末梢から中枢神経系に向かう刺激を伝える神経線維(求心性線維)で構成される。この種の線維は触覚、痛覚、温度覚、振動覚を伝えることから感覚線維と称される。感覚線維の起始細胞体は後根の膨隆部をなす脊髄後根神経節の内部に位置している。頸椎 から尾椎に至までの各レベルでの椎間孔内で前根と後根とは合一して脊髄神経を形成する。その合一地点で運動線維と感覚線維が混ざり合うために、脊髄神経はすべて領主線維の混合したものをふくむことになる。脊髄神経は椎間孔を出るとすぐに前枝と後枝(前枝が後枝よりも太い)に分かれる。後枝は脊柱をめぐって後方に走り、体幹背側部の筋と皮膚とに分布する。一方、前枝は前方にすすみ、体幹の側方部と前方部、それに上下肢の全部の筋と皮膚に分布する。前枝、後枝のほかに、細い1本の硬膜枝が脊髄神経から出て脊椎や脊髄被膜に達している。胸髄から発する脊髄神経(すなわち第1~12脳神経)からは、自律神経系の交感神経とのあいだの線維の乗り入れを行うために必要な白交通枝も出る。上下肢の基部では脊髄神経前枝が相集まって複雑な形をした神経叢を形成するのが認められる。上肢の基部には頚神経叢と腕神経叢、下肢の基部には腰神経叢と仙骨神経叢がそれぞれ存在する。上で述べたような神経系の中枢神経系と末梢神経毛への区分は全く人工的なものであって、ただ記載の便宜上行うに過ぎないことを明記すべきである。実際、これら2神経系の間をニューロンの突起は自由に通過するのである。例を示すならば、脊髄の第1胸髄節の高さの前角内に細胞体がある一つのニューロンの軸索突起は第一胸髄の前根内、腕神経叢内を経て上腕および前腕部では尺骨神経の中を通り、最後に手の小筋内の数個の筋線維の表面で運動終板を作る。この場合には軸索突起の長さが約90cmとなっており、この長い突起が中枢神経系と末梢神経系の両方にまたがって存在することになる。さらに1例をあげるなら、足の小趾外側の皮膚の触覚を伝える感覚性の軸索(樹状突起とも称される)は脊髄の第1仙髄節に所属するものなのであるが、これは腓腹神経、脛骨神経、坐骨神経の中を順次通りながら下肢の基部で腰仙骨神経叢に達してから、さらに第1仙骨神経の後根運神経節内に入り、そこの神経細胞外にまで達する。同じ神経細胞から出て中枢に向かう軸索が今度は脊髄に入ってから延髄まで上行して、そこの薄束核にまで達するのであるが、足の小趾のところからここまでの神経経路の総長は約1.5mとなっている。すなわち、この場合には極めて長い一つのニューロンが中枢と末梢両神経系にまたがって存在することになる。上の2つの例により、単一ニューロンがどれくらいの長さを示すかが理解されるであろう。)」
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