概 要形 状位 置
区 分
構 造
 粘 膜 粘膜上皮粘膜固有層粘膜筋板
 粘膜下組織
 筋 層外 層中 層内 層
 漿 膜
胃 腺 胃 腺噴門腺幽門腺
働 き
脈 管 / 神 経 
関連語句
イラストを掲載しているサイト

 

 

・「消化管中最も膨大した部」(日本人体解剖学)

「日本人体解剖学」には以下のような解説文も見られる。

生体では、胃の形状は内容の充実度および体位により著しく影響され、直立時の胃をX線でみるとだいたい鈎型と牛角型の2型に区別される。鈎型はサイフォン形ともいわれ、胃体はほぼ垂直で最下端は臍輪の高さに、幽門部はこれよりやや右上方に認められる。牛角形は左上方から右下方へ斜めに走り、幽門部は最下方に見られる。また、死体では筋肉の緊張が取れて嚢状に膨らむことが多く、いわゆるルシュカ形となる。

 

■ 胃の位置 ■

1. 胃の身体に対する位置関係

 以下は「日本人体解剖学」の解説文となる。

 胃は上腹部(=上胃部)に位置するが、その大部分(3/4)は上腹部の左外側部にあり、小部分(1/4)は上腹部の内側部にある。胃の軸は、左上後方から右前下方に急角度で走る。

 

2. 胃の骨格に対する位置関係 ※「日本人体解剖学」の解説文を参考に作成

 ・噴門は大1胸椎の高さで、第6および第7肋軟骨の間の胸骨の左縁に相当する位置

 ・幽門は第12胸椎の右側に位置することが多い。

 ・小弯は剣状突起の左縁と下端に相当する位置

 ・胃の右端は肝臓に覆われるがその前方には右肋骨弓が下行

 ・左肋骨弓は胃の前面を斜めに走行

 ・胃底は左の第5肋軟骨の高さまで上方に突出

 注意)以下に胃と骨格の位置関係を表すイラストを用意したが、上記の解説とは違う資料を参考に

     作成したため、イラストと解説内容は若干の違いが認めれれる。

 

3.胃と周囲の臓器との位置関係 ※「日本人体解剖学」の解説文を参考に作成

「胃は周囲の腹部臓器と重要な位置的関係を示し、胃の表面に多くの領域すなわち接触面が区別される。

 しかし、各面は身体・臓器の状態によってある程度変化する。」

 ・小弯は肝臓の左様に覆われるが、大弯は横行結腸に接する。

 ・胃の前壁は右側では肝臓の方形葉と左様におおわれ左側では横隔膜肋骨部および前腹壁におおわれる。

 ・胃の後壁は横隔膜の腰椎部および膵臓に接する。

 ・胃底は横隔膜頂の左方、副腎、膵臓の存在する位置にあり、胃底の後部は左腎・副腎および膵臓に接する。

 

 
身体的位置関係 骨格的位置関係
臓器との位置関係
 

 

胃は以下のように区分される。詳細はそれぞれの解説ページを参照のこと。

  

【粘 膜】

胃の粘膜は以下のような3層構造となる。

  

■粘膜上皮■

単層円柱上皮(杯細胞型の粘液細胞)、核は楕円形で細胞底の近くに位置。(日本人体解剖学)

・細胞体の表層部は分泌顆粒が粘液化して明るく見える。(日本人体解剖学)

・粘膜上皮は刺激により粘膜分泌が亢進し、組織表面に保護層を形成する。(日本人体解剖学)

・再生能力が極めて盛んで、胃粘膜の欠損などは比較的容易に治癒する。(日本人体解剖学)

以下は「船戸和也のHP」を参考にしたもの。

・胃小窩深部あるいは腺の上端部に、有糸分裂像がよく観察される。

 (この領域(増殖細胞帯)で分裂、増加した未分化上皮細胞が、表面上皮細胞あるいは腺細胞に分化し、成熟していく。)

「船戸和也のHP」の詳細解説ページ

    

■粘膜固有層■

・「リンパ球は集合してリンパ小節(胃リンパ小節)となる(幽門部に特に多い)」(日本人体解剖学)

・「しばしばリンパ小節やリンパ浸潤がみられる。」(船戸和也のHP)

・AIに尋ねたところ、粘膜固有層の厚さは「0.1~0.5㎜」とのこと。

 

■粘膜筋板■

・「このような平滑筋線維は、腺分泌物の胃内腔への放出に関与すると考えられている。」(船戸和也のHP)

胃壁の層構造が分かるイラストを掲載しているサイト-1

・胃壁の層構造が分かるイラストを掲載しているサイト-2

胃壁の層構造が分かるイラストを掲載しているサイト-3

胃壁の層構造が分かるイラストを掲載しているサイト-4

 
 
胃 壁
 

 

【粘膜下組織】

 各種細胞 : 脂肪細胞、形質細胞、リンパ球、好酸球

 神経 : 粘膜下神経叢(=マイスナー神経叢)

 脈管 : 比較的太い動静脈、リンパ管

 

【筋 層】

胃の筋層は全て平滑筋で構成され以下の3部に区別されるが、同じ筋層でも部位によって発達度合いは異なる。

  

■ 外 層 ■

食道の外縦筋層からの続き

・噴門部から放射線状に広がっている。

・胃底では弱いが、特に小弯および大弯では発達して小弯ヒモ大弯ヒモとなる。

・「幽門部、とくに上・下面で最も強い。」(日本人体解剖学)

・中層との間に筋層間神経叢(=アウエルバッハ神経叢)が存在

 

■ 中 層 ■

食道の内輪筋層からの続きで胃壁全体に走行

・3層の中で最もよく発達し、幽門部では特に発達が著しい。⇒ 幽門括約筋 の形成

・幽門括約筋によって十二指腸との境界部では輪状の粘膜ヒダ(幽門弁)を形成

 

■ 内 層 ■

食道の輪走筋の一部の続きで噴門から斜めに走っている。

・胃底では輪走するが、幽門部には達しない。

 
胃壁の筋層
幽門括約筋・幽門弁
 

 

【 漿 膜 】

・漿膜の表面は、単層扁平上皮でおおわれ、その下層に神経・血管などに富む疎性結合組織からなる漿膜下組織がある。(日本人体解剖学)

 

■ 固有胃腺 (gastric gland) / 胃底腺 (fundic gland) ■

 ・腺体および腺底の大部分を構成している。(日本人体解剖学)

  (「時に胃底部が主細胞のみで構成されていることもある。」(船戸和也のHP))

 ・単一管状腺で、分岐あるいは不分岐のものがある。(日本人体解剖学)

 ・通常、3~4個の腺が1つの胃小窩の底に開いている。(日本人体解剖学)

 ・区分)腺頚(neck)、腺体(corpus)、腺底(fundus)

 ・分泌)ペプシノーゲン、塩酸、粘液、ホルモン

  ※ペプシンの前駆物質で胃酸またはペプシンによってペプシン(蛋白分解酵素)となる。

  

     

【固有胃腺の構成細胞】

固有胃腺(/胃底腺)は以下のような細胞で構成されている。。

  

1

主細胞

chief cells

・腺体/腺底の大部分を構成する細胞で、細胞増殖帯の未分化上皮細胞が分化したもの。ただし、一部は主細胞自身が分裂、増殖する。

・立方形/円柱形で細胞の輪郭ははっきりしない。

・塩基好性(basophilia)の細かい顆粒(ペプシノーゲンを含む)を含む。

・核は円く細胞の基底部に位置し、細胞間分泌細管を認める。

・ペプシノーゲン(ペプシンの前駆物資)を分泌

・「漿液腺細胞である」(船戸和也のHP

⇒「船戸和也のHPの詳細解説

2

壁細胞

(=傍細胞)

parietal cells

・腺全体に分布するが、腺体に最も多い。

・腺頚部の未分化上皮細胞が分岐したもので、寿命は3ヶ月にも及ぶ。

・「胃底腺を構成する細胞の内で最も大型で、主細胞の2~3倍」(船戸和也のHP)

・大きな不正円形あるいは円みを帯びた三角形の細胞で輪郭ははっきりとしている。

・1個または2個の円い核を中央部に有する。

・水素イオン・塩素イオンを分布し、細胞内分泌管(微絨毛を有する)で塩酸となり腺腔に注ぐ。

・多くの大きな球状のミトコンドリアを有する。

⇒「船戸和也のHPの詳細解説

3

副細胞

(頚粘液細胞)

mucous neck cells

・腺頚またはそれに近い腺体に散在する。

・腺細胞の中で最小サイズ

・形状は主細胞に似ているが粘液を分泌する。

・細胞増殖帯の未分化上皮細胞が分化したもので、2~8日周期で更新される。

・「中性ないし硫酸ムコ物質に富み、表面粘液細胞が分泌する粘液と性状を異にする。」(船戸和也のHP

・核は細胞底に位置しほぼ扁平となる。

⇒「船戸和也のHPの詳細解説

4
その他

・基底顆粒細胞(消化を調整するホルモンの分泌?)

「それ(上記の3種)以外に基底顆粒細胞もかなり多数存在する。なお、基底顆粒細胞は、噴門腺、幽門腺にも存在する。」(船戸和也のHP

 

■ 噴門腺 ( cardiac gland) ■

・「複合管状腺で噴門部に存在し、幽門腺によく似た粘液腺である。 」(日本人体解剖学)

以下は「船戸和也のHP」を参考にしたものとなる。

 ・腺は強く迂曲している。

 ・腺腔は広く単一の細胞から構成される。

 ・腺細胞は円柱状を呈し、核は球状で基底部に位置する。

 ・核上部は粘液に満たされている。

 ・噴門腺は、噴門から遠位になるに従って、主細胞あるいは壁細胞をもつようになり、やがて典型的な胃底腺に置き換えられていく

・固有胃腺のイラストを掲載しているサイト-1

 ⇒「船戸和也のHPの詳細解説

 

■ 幽門腺 ( cardiac gland) ■

・「1種類の腺細胞から成り、細胞は固有胃腺の副細胞に似ているが、顆粒はさらに微細でいっそう明るい。」(日本人体解剖学)

以下は「船戸和也のHP」を参考にしたものとなる。

・幽門部の胃小窩は深く、粘膜の厚さの約半分以上にも達しているために、それに開口する幽門腺の長さは短い。

・腺細胞は、胃底腺の頚部粘液細胞ないしは十二指腸腺細胞によく類似している。

 形状)円柱状、核は円形ないし楕円形で基底部に遍在

・腺は迂曲してる。

・分泌する粘液は胃粘膜の保護作用に関与すると思われるが、分泌粘液顆粒にはペプシノーゲンやリゾチームが認められる。

・ごくまれに幽門腺胃壁細胞が認められることがある。

 

固有胃腺のイラストを掲載しているサイト-1

固有胃腺のイラストを掲載しているサイト-2

固有胃腺のイラストを掲載しているサイト-3

 ⇒「船戸和也のHP」の詳細解説

 

以下「Chat-GPT」を利用したものになる。

■1.食物の貯蔵■

口腔から摂取された食物は胃で一次的に貯蔵された後、消化のために小腸・大腸へと送られる。

■2.消化液■

消化液(胃液:主成分は塩酸、ペプシンなど)を分泌し、食べ物を化学的に分解。特にペプシンはタンパク質を分解する働き有する。また、胃酸の強い酸性は殺菌作用を有するが、胃壁は自ら粘膜を分泌して胃酸からダメージを防いでいる。

■3.食物の混合■

蠕動運動によって食物と胃液を混ぜ合わせ腸での消化を補助している。

■4.ホルモンの分泌■

 消化を調節するホルモン(ガストリンなど)分泌し、胃の活動を促進している。

名 称
分泌する場所
主な働き
1
ガストリン
幽門部のG細胞

・壁細胞を刺激し、胃酸(塩酸)の分泌を促進する。

・ペプシノーゲンの分泌を促し、タンパク質の消化を助ける。

・胃の運動を促進し、消化を円滑にする。
・食事(特にタンパク質)が胃に入ると分泌が増加。

2
グレリン
主に胃底部の内分泌細胞
食欲を刺激し、脳の視床下部に作用して空腹感を引き起こす。成長ホルモン(GH)の分泌を促進する。胃の運動を活性化し、消化を助ける。
空腹時に分泌が増え、食事をとると減少する。
3
ソマトスタチン

幽門部のD細胞

(他:膵臓、腸)

・ガストリンの分泌を抑制し、胃酸の過剰分泌を防ぐ。

・インスリン・グルカゴン・消化酵素の分泌を抑制し、エネルギーバランスを調整。
・胃酸の濃度が高くなると分泌され、胃を保護する。

 

以下は「日本人体解剖学」を参考にしたものになる。

【動 脈】

噴門部、小弯:左胃動脈腹腔動脈の枝)

小弯、幽門部:右胃動脈総肝動脈の←腹腔動脈

大弯(胃底):短胃動脈脾動脈の枝←腹腔動脈

大弯:左胃大網動脈脾動脈の枝←腹腔動脈

大弯(幽門部):右胃大網動脈胃十二指腸動脈総肝動脈腹腔動脈

     
胃の動脈 胃周辺の動脈  
 

 

【静 脈】

以下の動脈の伴行静脈(噴門部の一部を除いて門脈に合流する。「日本人体解剖学」)

左胃静脈右胃静脈短胃静脈右胃大網静脈左胃大網静脈

   
 
胃の静脈  
 

 

【リンパ管】

所属リンパ節から腹腔リンパ節をへて腸リンパ本幹に集まり、乳び叢に流入する。

 

【神 経】

副交感神経(迷走神経)と交感神経(腹腔神経叢←大内臓神経から)

   
 
迷走神経(胸部・腹部)  
 

 

あ行
胃円蓋
さ行
大弯
た行
 
胃小窩 粘膜筋板  
胃小区 粘膜固有層  
胃腺  
な行
 
胃体    
胃体管 噴門(部)
は行
 
胃底 噴門口  
胃粘膜ヒダ 噴門切痕
ら行
 
胃リンパ小節 噴門腺  
 
か行
角切痕  
固有胃腺 幽門
  幽門括約筋
  幽門管
絨毛様ヒダ 幽門口
小弯 幽門腺
  幽門洞
  幽門部
   
   
 

 

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