迷走神経とは
・発生学(embryology)的には、迷走神経は第4鰓弓神経と第6鰓弓神経である。「プロメテウス解剖学アトラス」
以下は舌咽神経が神経系の中でどの位置にいるかを簡単に示した図となる。
脳神経の一般的な分類の仕方として、「頭部の特殊感覚を支配する神経」、「体性運動神経」、そして「鰓弓(性)神経」の3種類があるが、迷走神経は知覚性神経線維と運動性神経線維からなる「鰓弓(性)神経」となる。
■ 副交感性( 一般臓性遠心性 ) ■
迷走神経背側核(内側部): 迷走神経三角(灰白翼)にあって、迷走神経および舌咽神経に含まれる平滑筋(smooth muscle)を支配する線維を出す。
■ 運動性( 特殊臓性遠心性 ) ■
疑核(延髄): 疑核は背側副オリーブ核の背側に位置し、ここから起こる運動線維は知覚線維とともに延髄を外腹側に貫いてオリーブの後側に出る。主として咽頭、喉頭の骨格筋の運動を支配している。
■ 知覚性(一般体性/臓性求心性、特殊臓性求心性) ■
・上/下神経節 : 両神経節とも構造的には脊髄神経節とほぼ同じで、知覚神経細胞をもち、これから知覚神経線維が起始する。
・迷走神経背側核(外側部): 菱形窩に位置する。
※ 孤束核からの脊髄線維(脊髄内で錐体交叉の下方で起こって上行)が加わる。
以下は「船戸和弥のホームページ」の解説を簡潔にまとめた図となる。
脳幹・前面
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脊髄横断面
オリーブの高さ
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以下が舌咽神経の主な走行(経過)となる。
1. 根線維(13~20本神経束)は舌咽神経のすぐ下、オリーブと下小脳脚との間にある溝から出る。
2. 舌咽神経、副神経とともに頚静脈孔を通り外頭蓋底に出る。
3. 一部副神経と結合したのち、まっすぐに深頚筋の前面、咽頭の外側で内頚動脈および総頚動脈と内頚静脈と
の間の後側を下行する。
4. 右迷走神経は鎖骨下動脈の前面、左迷走神経は大動脈弓の前面を通過して胸腔に入る。
5. 両神経とも気管支および心膜の後側を通り食道の外側に出る。
(下端に行くにしたがって左迷走神経は食道の前面、右迷走神経はその後面に沿って走る)
6. 食道とともに横隔膜の食道裂孔を貫いて腹腔に入る。
7. 終枝となって胃に達する。( 左迷走神経 → 胃の前面、右迷走神経 → 胃の後面 )
※ 腸枝は小腸・大腸にまで達している。
迷走神経には頚静脈孔付近に2つの神経節が見られる。
1 |
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位置 : 頚静脈孔内 形状 : 紡錘状 別名 : 頚静脈神経
出入りするもの : 硬膜枝、耳介枝、上頚神経節との交通枝
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2 |
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位置 : 頚静脈孔の下 形状 : 紡錘状 別名 : 節状神経節
出入りするもの : 上喉頭神経、上頚神経節との吻合枝、副神経との交通枝
※ 副神経との交通枝に関しては、資料によってはその起始する場所が「下神経節の上端」となっていたり「下神経節のすぐ上」となっていたりしている。
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「 (上巻) 」には以下のような解説が見られる。
「両神経節の構造は、舌咽神経の上・下神経節とともに、ほとんど脊髄神経節と同様であり知覚神経細胞をもち、これから知覚神経線維が起始する。」
また、以下は「船戸和弥のホームページ」の「迷走神経」の解説の一部となる。
「一般体性求心性線維:上神経節→三叉神経脊髄路核
一般内臓性求心性線維:上および下神経節→孤束核
1) 上神経節(頚静脈神経節)は耳介のうしろの皮膚と外耳道後壁からの体性感覚性インパルスを伝達する。
2) 下神経節(節状神経節)は内臓感覚性インパルスと、一部は味覚インパルスを伝達する。多極性のおそらくは副交感性ニューロンのあいだに散在することが報告されている。 」
迷走神経の枝は、頭部、頚部、胸部および腹部の4部に区別して考えることができる。
【 頭 部 :下神経節の上端部まで 】
上神経節:頚静脈孔内に位置し、硬膜枝および耳介枝を出している。
【 頚 部:下神経節以下の反回神経が分岐する位置まで 】
【 胸 部 : 反回神経から食道裂孔に至るまで 】
【 腹 部: 食道裂孔より下部 】
「日本人体解剖学 (上巻) 」には以下のような解説が見られる。
「迷走神経は、横隔膜の食堂裂孔を通って腹腔に入ると、左右の迷走神経はその経過を異にし、左迷走神経は胃の前面に、右迷走神経は胃の後面に走る。このことから、左迷走神経を前迷走神経幹 anterior vagal trunkと呼び、右迷走神経を後迷走神経幹 posterior vagal trunkと呼ぶ。 」
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頚部/胸部模型図(前面) |
頚部/胸部模型図(後面) |
頚部/胸部模型図 |
胸部/腹部模型図 |
【 イラストや写真を掲載しているサイト 】
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