翼口蓋窩 (よくこうがいか、 英:pterygopalatine fossa

 

 側頭下窩の内側にある錐体状(下部が狭い)の空間で、中頭蓋窩、眼窩、鼻腔の間を連絡する重要な部位となり、これらの構造に分布する神経や血管が多く通っている。

 

 

【もっと詳しく】

 翼口蓋窩を構成する骨は以下になる。

前方

・上顎骨体の後縁 ・口蓋骨、眼窩突起の一部

後方
・蝶形骨、翼状突起
内方
・口蓋骨、垂直板
外方
・三角形の間隙で、生体では下半分は骨膜によって閉ざされている。
上方
・蝶形骨体(※前上方は下眼窩裂に通じ、特別な壁はない)
下方

・上顎骨体 ・蝶形骨、翼状突起 ・口蓋骨、錐体突起(※大口蓋管の上口にあたる)

 

 翼口蓋窩は、前後左右上下と全ての方向において頭蓋骨内の他の空間と交通し、種々の神経や血管を通している。(※以下の表の「通過する神経・血管」は「プロメテウス解剖学アトラス 頭頸部/神経解剖」を参考にしたものであるが、資料により異なる。)

 

 

 

 

方 向
経 路
由来/行先
神経・血管
前上方
下眼窩裂
眼窩

・眼窩下神経
・頬骨神経
・上顎神経の眼窩枝
・眼窩下動脈(とその伴行静脈)

・下眼静脈
後方
正円孔
中頭蓋窩
・上顎神経
翼突管
外頭蓋底

・大錐体神経(顔面神経の副交感神経枝)
・深錐体神経(頸動脈神経叢からの交感神経線維)
・翼突管動脈とその伴行静脈

・翼突管神経
内方
鼻腔

資料により異なる。

 「日本人体解剖学」:上後鼻神経、鼻口蓋動脈・静脈

 「プロメテウス解剖学アトラス」:上顎神経の外側・内側上後鼻枝、蝶口蓋動脈(その伴行静脈)

 「Wikipedia」:posterior superior lateral nasal nerve(外側後上鼻神経?)、nasopalatine nerve(鼻口蓋神経)、sphenopalatine artery and vein(蝶口蓋動・静脈)

外方
翼上顎裂
側頭下窩

※以下は正確性に欠ける可能性あり。

・上歯槽神経の後上歯槽枝

・後上歯槽動脈

下方
大口蓋管
口腔

・大口蓋神経
・下降口蓋神経

・大口蓋動脈

小口蓋管

(大口蓋管から分岐)

・小口蓋神経

・小口蓋動脈(下行口蓋動脈の終枝)