・概 要
・各部の名称
・構 造
歯 質 : ゾウゲ質、エナメル質、セメント質
歯 髄
・種 類
・分類/歯式
永久歯、乳歯、FDI方式
・永久歯の形状(歯の面・縁)
切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯、第三大臼歯
・脈 管 / 神 経
・発 生
・関連語句
■ ゾウゲ質 ■
・「約70%の無機質を含み、エナメル質についで硬い。ゾウゲ質は、骨質よりも硬い。」(日本人体解剖学)
注意)上記の各成分の数値は資料によって違いが見られ、有機成分を「30%」としている資料も見受けられる。
・「モース硬度は約 5~6 で、ガラスと似た硬さです。」(AI)
「日本人体解剖学」ではゾウゲ質の基質を以下のように分類している。
以下の呼称は「日本人体解剖学」や「船戸和也のHP」には見られないが挙げておきたい。 ・管間ゾウゲ質:ゾウゲ細管の間に存在するゾウゲ質 ・球間ゾウゲ質:歯頚部象牙質に存在する低石灰化の領域、球状石灰化が進む際に形成された 石灰化球によって囲まれて残った部分(by AI) ・マンテルゾウゲ質:最外層(エナメル質に最も近い)のゾウゲ質で石灰化は弱い。 ・エナメルゾウゲ境:ゾウゲ質とエナメル質の境界
「ウィキペディア」には以下のような解説文が見られる。 歯の歯根完成までに作られる象牙質を原生象牙質や第一象牙質、歯根完成後に作られる象牙質を第二象牙質]という。また、う蝕等により刺激を受けた時に作られる象牙質を第三象牙質、修復象牙質と呼び、正常な状態で作られる第二象牙質を生理的第二象牙質と呼び、両者を区別することもある。
■ エナメル質 ■
以下「日本人体解剖学」を参考にエナメル質の特徴を簡単に示す。 ・エナメル小柱は分岐せず若干の波状を描きながら走っている。 ・エナメル小柱および小柱間質の石灰化(calcification)は強い。 ・エナメル小柱には一定の間隔で石灰化不十分な箇所があり、標本に おいてはそれがレチウス線条として観察できる。 ・エナメル小柱は一定の領域ごとに同じ走行を示すが、隣接する領域の境界は シュレーゲル線条となり確認ができる。 ・萠出直後の歯ではエナメル質の表面に薄い丈夫な膜(歯小皮/ナスミス膜)がある。 〈エナメル小柱の走行〉 縦断研磨標本でエナメル質を観察すると、小柱の走行は必ずしも単純ではなく、一定間隔をおいて小柱が群れを成して湾曲しているところと、ほとんど直走するところが交互に置かれているのがわかる。ヘマトキシリン染色を行うと横断された小柱群は濃染した線条(横断帯)として認められ、明るく見える縦断小柱群(縦断帯)とともに明暗交互の条紋を形成している。これをシュレーゲル線条(line of Schreger)という。
■ セメント質 ■
注意)上記の各数字は資料によっても異なるため参考程度にとどめていただきたい。
以下はAIの「COPILOT」で調べたものになる。 無細胞セメント質 (Acellular Cementum)
・「発生学的には中胚葉性歯乳頭の発達したもの」(日本人体解剖学) ・「歯の栄養(幼少年期には栄養およびその成長)をつかさどる。」(日本人体解剖学)
「日本人体解剖学」には以下のような解説文が見られる。 歯髄中に見られる有髄神経は、三叉神経に由来し、歯髄内で神経叢をつくり、ここから軸索 のみとなってゾウゲ質中にわずかに入る。また、毛細血管網も発達している。
【歯の生える順序および位置】 参考:日本人体解剖学
※ (1) 6歳臼歯とも (2) 智歯とも
以下は「6歳時の小児の歯生」を示したイラストとなる。青色は永久歯の歯胚を示す。 「6歳までには全ての乳歯が萌出し、かつ、全ての乳歯が残っている。永久歯の第1大臼歯、 すなわち「6歳臼歯」もこの年齢で萌出し始める。」(プロメテウス解剖学アトラス)
【永久歯の分類/歯式】 参考:「日本人体解剖学」
■分 類(上顎、下顎とも同じ)■
■歯 式■ 個々の歯の表示は下記のように行われる。 【乳歯の分類/歯式】 参考:「日本人体解剖学」
■分 類(上顎、下顎とも同じ)■
■歯 式■ 【FDI方式】
歯の位置と歯種を2桁の番号で表すコンピューター等による表示法
■ 歯の面/縁 ■ 〈 切歯・犬歯 〉 唇面(/側) : 唇に向かう面、つまり前面 舌/口蓋面(/側):後面のことで、下顎は舌面そして上顎は口蓋面となる。 咬合縁:上下の歯が向かい合う縁、切歯はほぼ一直線で「切縁」と呼ばれることがある。 〈 臼歯 〉 頬面(/側):頬に向かう面、外側面といったところ。 舌/口蓋面(/側):内側面のことで、下顎は舌面そして上顎は口蓋面となる。 咬合面:上下の歯が向かい合う面、溝によって歯冠結節が形成されている。
【 切 歯(門歯)】 以下、切歯の主な特徴を記す。 ・唇面(前面)は凸面で、舌面(後面)はやや陥凹している。 ・歯冠の切端は薄く鋭くてノミ状を呈する。 ・上顎のものは下顎のものよりも大きく、上顎の第1切歯(中切歯)は最も大きい。
【犬 歯】
・切歯と同じく唇面は凸面で、舌面は凹面となる。 ・「歯冠は錘状に尖り、他の歯よりも長く突出するため、食物の摂取咬断および把持に適している。」(日本人体解剖学)
【小臼歯】
以下は「日本人体解剖学」の解説文となる。 歯根は下顎のものでは単一で前後両面に縦溝を示すだけであるが、上顎では第1小臼歯の歯根尖が頬・舌側の2根に分岐することが多い。
【大臼歯】
カラベリ結節 : 上顎第1大臼歯の前歯冠結節の舌側にときどき認められる結節
以下の第三大臼歯に関する解説文は「フォーストナビ」を参考にしたものとなる。 ・形成は8歳ころに始まり14歳ころに完了 ・一般的に男性の方が女性よりも早く萌出する。(第二大臼歯は逆のことが多い) ・第三大臼歯が存在しない人(先天性欠損)の割合は約25%ほど ・英語では知恵がついてくる時期に生えることから「wisdom tooth」と呼ばれる。
以下が歯髄と歯根膜に分布する脈管や神経となる。
以下は「日本人体解剖学」の解説文となる。 歯のエナメル質は外胚葉(口腔上皮)から、ゾウゲ質およびセメント質は中胚葉から生じる。 【胎生第7週】で顎縁の上皮は増殖し、深部結合組織に向って堤状に入る。これを歯堤(dental lamina)という。 【胎生3ヶ月】になると、歯堤の自由縁に一定の間隔をおいて乳歯の数と同数の棍 状の肥厚、すなわち歯胚(dental germ)という乳歯の最初の原基が生じる。この棍状の肥厚は、 将来、エナメル質形成に関係するエナメル器(enamel organ)に発育する。また、これと同時に 間葉性の結合組織細胞はエナメル器の下面に集まって歯乳頭()を形成する。 歯堤は、はじめエナメル器と広く結合するが、次第に細くなり薄い結合橋(connecting bridge) に絞扼(コウヤク) するようになる。その後、乳歯のエナメル器の舌側に第2の棍状肥厚が現れ、そ こに永久歯の歯胚が生じる(胎生5ヶ月)エナメル器は発育とともに、次の3種の細胞層が区別さ れるようになる。すなわち、外層を外エナメル上皮(outer enamel epithelium)、内層を内エナメル 上皮(inner enamel epithelium)といい、両者の中間をエナメル髄(enamel pulp)という。外エナメル 上皮は、エナメル器の外面にあって単層立方上皮からなる。内エナメル上皮は、エナメル器の下 面陥凹部をおおう単層円柱上皮細胞からなり、エナメル芽細胞(ameloblast)に分化する。エナメ ル髄は、星状の細胞によって満たされる。 以上の変化とともに、歯乳頭表面にある中胚葉細胞は円柱状となり上皮様に並ぶ。このように なったものを、ゾウゲ芽細胞という。また、エナメル器の周りの結合組織からは歯小嚢が発生す る。胎生20週になるとゾウゲ芽細胞は無構造の細胞間質であるゾウゲ前質(predentin)を分泌す る。このようにして、次第に膠原原線維を生じ、さらに基質に石灰化が起こりゾウゲ質を形成する。 ゾウゲ質形成が始まるとまもなく、エナメル質形成が起こり、内エナメル上皮の分化したエナメル芽 細胞はゾウゲ質に面した部にエナメル前質(preenamel)を形成し、石灰化が起こり、エナメル小柱の 初期のものが形成されてくる。発生が進むと、内エナメル上皮は歯乳頭に面する部にあった小皮を 残してエナメル質形成を止める。残った小皮は歯小皮となって歯の表面をおおうが、生歯後しばらく すると摩耗して焼失する。セメント質は、エナメル器を囲む結合組織、すなわち歯小嚢から発生する。 歯根膜もまた同一組織から発生する。 永久歯の発生も乳歯の発生と同様であるが、胎生24週で乳歯より深部で歯堤の一部から発生す る。歯の生え変わりの時には、乳歯の根部は発育する永久歯によって破壊呼吸され、歯冠部は歯槽 外に圧出される。
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