【概 要】
グルタミン酸は体内で合成できる非必須アミノ酸だが、条件によっては準必須アミノ酸と扱われる場合もある模様。
※グルタミンほどは準必須アミノ酸として扱われる機会は少ないようである。
【化学構造の特徴 】
HOOC–CH2–CH2–CH(NH2)–COOH
・α-アミノ酸
・側鎖に –CH₂–CH₂–COO⁻ を持つ。
・負電荷を帯びやすい → 水溶性が高い。
【働 き】
■神経伝達物質として■
・中枢神経系において興奮性神経伝達物質はグルタミン酸以外(アスパラギン酸、アセチルコリンなど)にないこともないが、独立した主要伝達物質とは扱われないようである。
・グルタミン酸の反対の働きをするのが主抑制性神経伝達物質で、脳ではGABA(γアミノ酪酸)、脊髄ではグリシンも重要となる。

■アミノ酸代謝のハブ■
・多くのアミノ酸のアミノ基の受け渡し役
・トランスアミナーゼ反応の中心
・α-ケトグルタル酸との相互変換
■エネルギー代謝との連結 ■
・TCA回路の中間体(α-ケトグルタル酸)と直結
・炭素骨格はエネルギー源として利用可能
■グルタミン・GABAの前駆体 ■
・グルタミン → 窒素運搬
・GABA → 抑制性神経伝達物質
■食品・栄養学的側面 ■
・うま味(umami)の本体
・昆布、トマト、チーズなどに多い
・グルタミン酸ナトリウム(MSG)として食品添加物に利用
【必須・非必須の位置づけ】
非必須アミノ酸:体内で合成可能
ただし、
成長期
外傷・感染・重症時
では需要が増加し、条件付き必須として扱われる文脈もある。
【体内での存在量 】
脳に非常に多く存在しているが、全身の遊離アミノ酸としても主要成分としても重要
ただし血中濃度は厳密に制御されている。
【グルタミン酸/グルタミン比較表】
| |
項 目 |
グルタミン酸 |
グルタミン |
| 1 |
分類 |
非必須アミノ酸 |
非必須アミノ酸(※条件付き必須) |
| 2 |
化学的特徴 |
酸性アミノ酸 |
アミド基をもつ中性アミノ酸 |
| 3 |
体内存在量 |
脳・中枢神経系で多い |
血液・筋肉に最も多い遊離アミノ酸 |
| 4 |
主な役割 |
神経伝達、代謝中間体 |
窒素運搬、免疫・腸管支持 |
| 5 |
神経伝達物質 |
主要な興奮性神経伝達物質 |
直接はならない |
| 6 |
中枢神経での役割 |
学習・記憶(LTP)、情報伝達 |
グルタミン酸・GABAの前駆体 |
| 7 |
末梢での役割 |
感覚神経・腸管神経の調節 |
腸上皮・免疫細胞のエネルギー源 |
| 8 |
代謝的関係 |
← グルタミンから生成 |
← グルタミン酸から生成 |
| 9 |
相互変換 |
グルタミン酸 ⇄ グルタミン |
グルタミン ⇄ グルタミン酸 |
| 10 |
変換酵素 |
グルタミンシンテターゼ等 |
グルタミナーゼ等 |
| 11 |
栄養学的特徴 |
食品中に多く存在 |
ストレス時に需要増加 |
| 12 |
条件付き必須性 |
通常はならない |
外傷・感染・高齢で条件付き必須 |
| 13 |
欠乏の影響 |
神経機能異常(極端な場合) |
免疫低下、腸粘膜萎縮など |
| 14 |
食品例 |
昆布、チーズ、トマト |
肉、魚、乳製品(体内合成が主) |
【アミノ酸トップ10】
以下は体内に占めるアミノ酸量のトップ10を簡単に表した表になる。
| |
アミノ酸 |
分 類 |
特徴・補足 |
1 |
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|
体内最多。窒素運搬・免疫・腸管の主要燃料 |
2 |
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筋→肝の糖新生(グルコース‐アラニン回路) |
3 |
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代謝中枢・主要興奮性神経伝達物質 |
4 |
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筋タンパク合成シグナル(BCAA) |
5 |
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|
必須アミノ酸、タンパク構造安定化 |
6 |
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|
BCAA、筋代謝に重要 |
7 |
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|
BCAA、エネルギー代謝 |
8 |
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9 |
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脂質・核酸合成、代謝分岐点 |
10 |
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