細胞外マトリックス( さいぼうがいまとりっくす、英:extracellular matrix

 

概 要
構成
機 能
 

 

 

【概 要】

細胞外マトリックスを産出する細胞例

 ・皮膚 ⇒ 線維芽細胞 ・骨 ⇒ 骨芽細胞 ・軟骨 ⇒ 軟骨細胞

 

【構 成】

細胞外マトリックス(ECM)は組織(骨、軟骨、軟組織)によってその構成要素の比率は大きく変動する。あくまでも標準的な割合としては水分が60~70%程度、、線維成分が25~30%、そして基質成分が5~10%という数字が挙げられる。

【線維成分・基質成分の構成】

 

 

主な構成要素

特徴・役割

線維成分
1

コラーゲン

(type I, II, III, IVなど) 組織に張力・強度を与える。種類によって分布組織が異なる。

2

エラスチン

 弾性線維の主成分。伸縮性・弾力性を提供。

3

網綱線維

 細く柔軟で網目状。リンパ組織や骨髄で細胞の支えとなる。

基質成分
1

プロテオグリカン

 GAGとコアタンパク質からなる。水分保持、圧縮応力吸収に寄与。

2

グリコサミノグリカン

(=GAG) ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デスモ硫酸など。水を保持してゼリー状の性質を形成。

3

接着糖タンパク質

 フィブロネクチン、ラミニンなど。細胞とECMの接着、組織構造維持に重要。

4

水分・イオン

 ECMに水を保持し、圧縮や浸透圧に対する弾性を提供。

 

 

【機 能】 参考:「ChatGPT」

 

1. 組織の構造的支持

 ・ECMの線維成分(コラーゲン・エラスチン・網綱線維)が、組織や器官に物理的な骨格を提供

 ・張力や圧縮力に耐える力を付与

  例:腱ではコラーゲン線維が強い張力に耐える 骨ではコラーゲン+無機質で硬さを保持

2. 細胞の支持・配置の保持

 ・ECMは細胞の足場となる

 ・細胞接着分子(フィブロネクチン、ラミニンなど)が ECM と細胞をつなぎ、細胞の位置や極性を制御

 ・発生過程や組織再生において、細胞の方向性・分布を決める重要な役割

3. 細胞機能の調整

 ・シグナル伝達の場として機能

  ECMの成分が細胞表面の受容体(integrinなど)に結合

  細胞の増殖、分化、移動、アポトーシスに影響 

 例:軟骨のプロテオグリカンが圧縮刺激に応答して細胞の代謝を調節

4. 組織の弾力性・圧縮耐性

 ・基質成分(水分+プロテオグリカン・GAG)によって水分を保持

 ・圧縮力に耐えつつ、元の形状に戻る

 例:軟骨や硝子体で顕著

5. 物質の輸送・貯蔵

  ・ECMの水分と多糖類により、栄養素、ホルモン、成長因子の移動や貯蔵が可能

  ・緩衝作用としても機能し、組織の恒常性維持に寄与

6. 組織修復・創傷治癒

  ・ECMの成分が創傷治癒の足場となる

  ・細胞の遊走・増殖・新しい組織形成を支援