■ 概 要 ■
いわゆる「膝(ひざ)」の関節で、「日本人体解剖学 (上巻) 」には以下のような解説が見られる。 また、「Rauber-Kopsch解剖学」には「人体中、最大の面積を持っている」との解説文もある。
【構成する骨/関節の種類】
膝関節を構成する骨は大腿骨、脛骨、そして膝蓋骨の3つで、腓骨は含まれない。以下に、「大腿骨と脛骨との接合」と「大腿骨と膝蓋骨との接合」の2つに分けて考えていくこととする。
《大腿骨と脛骨との接合》
・大腿脛骨関節とよばれることもある?
《大腿骨と膝蓋骨との接合 》
・膝蓋大腿関節とよばれることもある?
■ 関節包 ■
「船戸和弥のホームページ」には以下のような解説が見られる。
「関節包は大腿骨では軟骨縁から1/2~2cmへだたったところから起り,しかもその距りは一般に両側方および後方よりも前方で大きくなっている.大腿骨の両上顆は関節包の外にある.関節包は脛骨には軟骨縁からごくわずかへだたったところに付いている.膝蓋骨は関節包の前壁の中にはまりこんでいる.そして関節包は膝蓋骨の底では軟骨縁から数ミリメートル離れたところに付くが,ほかのすべての縁では軟骨縁のすぐそばに付いている.後壁は丈夫で孔がたくさんにあり,脂肪組織でみたされて血管の通りぬけるところになっている. 」
■ 関節腔 ■
「船戸和弥のホームページ」には以下のような解説が見られる。
「関節腔は全身の関節中でもっとも広く,その構造が最も複雑である.滑膜層を後上部のはじまりから追ってゆくと,そこから交叉靱帯の上および脛骨にまでたどることができる.脛骨と膝蓋骨のあいだでは,滑膜層は膝脂肪体Corpus adiposum genusという,関節腔に突出した幅のひろい脂肪隆起を被っている.膝脂肪体の表面には膝蓋骨の両側縁から2つのヒダが来ており,これを翼状ヒダPlicae alaresという.脂肪隆起の中央から前交叉靱帯へと関節腔を貫いて,滑膜だけでできた1本の索が走っている.これが膝蓋滑膜ヒダPlica synovialis patellaris(図450)で,その太さはさまざまであり,しばしば非常に細いものである. 」
■ 滑液包 ■
膝関節の周辺には多くの滑液包が見られる。以下は「Rauber-Kopsch解剖学」を参考に作成した一覧表になるが、膝関節の周辺の滑液包を全て挙げているわけではない。※名称もサイトに掲載されているものをそのまま用いている。また、表の名称とイラストの名称が一致しない場合もある。
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名 称 |
備 考 |
イラスト |
1 |
膝上嚢 |
膝蓋上包のことだと思われる。 |
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2 |
膝窩筋嚢 |
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3 |
脛側半膜様筋嚢 |
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4 |
腓側半膜様筋嚢 |
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5 |
腓腹筋脛側頭嚢 |
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6 |
腓腹半膜様筋嚢 |
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7 |
膝前皮下包 |
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8 |
膝前筋膜下嚢 |
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9 |
膝前腱膜下嚢 |
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10 |
膝下皮下包 |
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11 |
膝下靱帯下嚢 |
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12 |
脛骨粗面皮下包 |
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なお、「Wikipedia」では、以下のように膝関節を3つに分けて全部で14個の滑液包を挙げている。
⇒「Wikipedia」の滑液包の一覧表のページ
■ 運 動 ■
「船戸和弥のホームページ」には以下のような解説が見られる。
「膝関節は屈伸運動のみを行う蝶番関節とみなされるが、膝を曲げた状態では下腿の内旋(10°)、外施(40°)が可能である。また膝を十分に伸ばすとき、その最終段階では下腿のわずかな外施(5°)がみられ(これを終末回旋という)、この状態から再び膝をまげるときには、その最初の段階として下腿の内旋がおこなわれる。この意味で純粋な蝶番関節ではない。直立位(膝を伸ばした状態)では、大腿骨の内側顆と外側顆は、それぞれ下面の比較的平面的な部分で広く脛骨に接するが、膝をまげたときには、大腿骨の内側顆、外側顆の後面にある弯曲の強い局面によって脛骨に接する。膝蓋骨の関節面は、この屈伸に際して大腿骨下端の前面にある膝蓋面を上下に移動する。 」
■ 筋 肉 ■
以下が主に膝関節の屈曲と伸展にかかわる筋肉となる。
伸筋群
extensors |
1 |
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rectus femoris muscle |
伸展 |
2 |
|
vastus intermedius muscle |
伸展 |
3 |
|
vastus medialis muscle |
伸展 |
4 |
外側広筋 |
vastus lateralis muscle |
伸展 |
屈筋群
flexors |
1 |
|
biceps femoris muscle |
屈曲、外旋 |
2 |
|
semimembranosusu muscle |
屈曲、内旋 |
3 |
|
semitendinosus muscle |
屈曲、内旋 |
4 |
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gastrocenmius |
屈曲 |
5 |
|
popliteus muscle |
屈曲、内旋 |
6 |
|
gracilis muscle |
屈曲、内旋 |
7 |
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sartorius muscle |
屈曲、内転 |
8 |
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plantaris muscle |
屈曲 |
※「Wikipedia」では…。
・伸筋群の中に「膝関節筋」を含めている。
・「縫工筋」は伸筋群にしている。
・「薄筋」は「Medial compartment」として、伸筋群にも屈筋群にも入れていたい。
■ 靭 帯 ■
膝関節を補強する靭帯が以下になる。
1 |
|
fibular patellar retinaculum |
6 |
|
cruciate ligaments |
2 |
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fibular collateral ligament |
7 |
|
oblique popliteal ligament |
3 |
|
arcuate popliteal ligament |
8 |
|
tibial patellar retinaculum |
4 |
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transver ligament of knee |
9 |
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tibial collateral ligament |
5 |
|
patellar ligament |
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■ 関連語句 ■
1 |
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infrapatellar synovial fold |
2 |
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alar fold |
3 |
|
infrapatellar fat pad |
■ 他の参考となるサイト ■
・「船戸和弥のHP」
・「Wikipedia」
■ YouTube ■
・3D VEDIO FOR KNEE JOINT(2:01)