酵 素( こうそ、英:enzyme )

 
概 要
国際分類
代表例
働 き
体内以外の酵素

 

 

タンパク質100%の酵素:リゾチーム(唾液、涙液など)、ペプシン(胃液)トリプシン膵液

タンパク質以外の物質:補酵素、補欠分子族、金属イオン

 

【国際分類】

以下は「国際生化学・分子生物学連合酵素委員会 が定めている酵素の体系的な分類法」となる。

 

 
名 称
例 / 備 考
1
酸化還元酵素

 例:デヒドロゲナーゼ、酸化酵素、カタラーゼ

 電子や水素を移動させる

2
転移酵素

 例:アミノ基転移酵素(トランスアミナーゼ)、キナーゼ

 官能基を移す

3
加水分解酵素

 例:アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ

 加水分解で大きな分子を分解

4
リアーゼ

 例:ピルビン酸デカルボキシラーゼ

 結合を非加水分解的に切る

5
異性化酵素
 例:ホスホグルコースイソメラーゼ分子の構造を組み替える
6
リガーゼ/合成酵素

 例:DNAリガーゼ

 エネルギーを使って分子同士を結合

 


【代表的な酵素】

以下に代表的な酵素を一覧にしてみた。

 

 
酵素名
主に見られる部位
主な働き
分類
1
 デンプンをマルトースなどの二糖に分解
2
 小腸上皮細胞刷子縁
 マルトースをグルコースに分解
3
 小腸上皮細胞刷子縁
4
 小腸上皮細胞刷子縁
5
6
 胃液
7
 ペプチドをより小さいペプチドアミノ酸に分解
8
DNAポリメラーゼ
 DNAの複製を行う
転/リ
9
RNAポリメラーゼ
 DNAを鋳型にRNAを合成
10
ATP合成酵素
 ミトコンドリア内膜
 ADPとリン酸からATPを合成
11
カタラーゼ
 過酸化水素を水と酸素に分解
12
シトクロムCオキシダーゼ
 ミトコンドリア内膜
 電子伝達系で酸素を水に還元

 

加=加水分解酵素、転=転移酵素、リ=リガーゼ、酸=酸化還元酵素

 

【働 き】

以下代表的な酵素の働きを簡単に記してみた。

■消化酵素■

 ・アミラーゼ唾液膵臓) → デンプンを分解

 ・リパーゼ膵臓) → 脂肪脂肪酸グリセロールに分解と

 ・プロテアーゼペプシントリプシンなど) → タンパク質アミノ酸に分解

 ・刷子縁酵素(小腸) → 二糖類ペプチド単糖アミノ酸

■エネルギー代謝酵素■

 ・解糖系:ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ

 ・クエン酸回路:クエン酸シンターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ

 ・電子伝達系:シトクロムオキシダーゼ

DNA・RNA関連酵素

 ・DNAポリメラーゼ:DNA複製

 ・RNAポリメラーゼ:転写

 ・DNAリガーゼ:DNA修復

解毒・防御酵素

 ・カタラーゼ:過酸化水素を水と酸素に分解

 ・スーパーオキシドディスムターゼ(SOD):活性酸素を無害化

 ・グルタチオンペルオキシダーゼ:酸化ストレスから細胞を守る

 

【体内以外の酵素】

 

人間の体内以外にも、自然界や身近な生活の中にはたくさんの酵素があり、以下に簡単な例を記す。

  酵素名 主な存在場所 主な働き 分類
1
パパイン
 パパイヤの果実
 タンパク質を分解(肉を柔らかくする)
加(プ)
2
ブロメライン
 パイナップルの茎や果実
 タンパク質分解、抗炎症作用
加(プ)
3
フィチン酸分解酵素
 穀物、微生物
 フィチン酸を分解してミネラルを吸収しやすくする
4
ラクターゼ
 一部の微生物(乳酸菌)
5
 でんぷんを含む植物、カビ、酵母
 デンプンをマルトースなどに分解
6
カタラーゼ
 野菜、酵母、細菌
 過酸化水素を水と酸素に分解
7
リパーゼ
 パン酵母、チーズ製造微生物
 脂肪を分解

 

・加(プ)=加水分解酵素(プロテアーゼ)⇒タンパク質を分解、加=加水分解酵素、酸=酸化還元酵素