脂肪酸( しぼうさん、英:fatty acid )

 

概 要
消化・吸収
働 き
分 類
参考となるサイト

 

 

・「脂肪酸は炭化水素鎖にカルボキシ基を有した1価のカルボン酸である」(ウィキペディア

・「脂肪酸がグリセリンエステル結合したアシルグリセロール油脂を構成する。」(ウィキペディア

 

 

以下は「ウィキペディア」の解説文となる。

ヒトを含む多くの生体内ではエネルギー源として好気的に 代謝 される (β酸化)。脂肪酸は体内においてはほとんどが 筋肉 細胞に存在している。筋肉細胞内において、脂肪酸はカルニチンによってミトコンドリア内部に輸送される。ミトコンドリア内膜はアシルCoAを直接透過しないため、カルニチンが脂肪酸アシル運搬体の役割を果たす(動植物共通)。脂肪酸アシルCoAはカルニチンと一時的に結合し、脂肪酸アシルカルニチンを生成する。この反応はミトコンドリア外膜に埋め込まれたカルニチンアシルトランスフェラーゼIにより触媒される。その後、脂肪酸はミトコンドリア内でβ酸化を受け酢酸にまで分解され、生成したアセチルCoAクエン酸回路を通じてエネルギーに転換される。

【炭素数による】

以下は「ウィキペディア」を参考にして作成した表となる。

炭素数
名 称
備 考
1
6未満
short-chain FA; SCFA
2
6-12
middle-chain FA; MCFA
3
13-21
長鎖脂肪酸
long-chain FA; LCFA
4
22以上
very long-chain FA; VLCFA

※炭素数10以上のものを高級脂肪酸(higher fatty acid)とも呼ぶ。

 

【不飽和度による】

脂肪酸は飽和度によって大きく飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に分けることができる。

 

脂肪酸(しぼうさん、Fatty acid、FA)とは、炭化水素鎖にカルボキシ基を有した1価のカルボン酸である[1]不飽和結合の有無により、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸に分けられる場合が多い。天然に存在する脂肪酸の大部分は分岐のない炭化水素鎖をもつが、分枝鎖、環状構造を持つ脂肪酸も存在する。生体内において、細胞膜を構成する多くの脂質分子の主要成分として重要である(リン脂質スフィンゴ脂質コレステロールエステルなど)。脂肪酸がグリセリンエステル結合したアシルグリセロール油脂を構成する。


分類

脂肪酸は主に炭素数および不飽和結合の有無、幾何異性体の種類によって分類される。
炭素数による分類
炭素数に応じて短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸と区別する。

  • 炭素数が6未満:短鎖脂肪酸(short-chain FA; SCFA)
  • 炭素数が6-12:中鎖脂肪酸(middle-chain FA; MCFA)
  • 炭素数が13-21:長鎖脂肪酸(long-chain FA; LCFA)
  • 炭素数が22以上:超長鎖脂肪酸(very long-chain FA; VLCFA)

なお炭素数10以上のものを高級脂肪酸(higher fatty acid)とも呼ぶ。
不飽和度による分類
不飽和度による分類はさまざまであるが、基本的には以下の分類に従う。

また不飽和脂肪酸は二重結合の数が1つであるか、複数であるかによって以下の分類がなされる。

  • モノエン脂肪酸(一価不飽和脂肪酸、monounsaturated fatty acid, MUFA) — 二重結合の数が1つである
  • ポリエン脂肪酸(多価不飽和脂肪酸、polyunsaturated fatty acid, PUFA)— 二重結合の数が2つ以上である。二重結合の数が4つ以上のものを高度不飽和脂肪酸と呼ぶ場合もある。

また、二重結合の有無および炭素数の差異によって名称が異なる。脂肪酸#命名法にて述べる。
幾何異性体による分類
不飽和脂肪酸は、幾何異性体にcis型とtrans型がある。天然に存在するのはほとんどがcis型である。trans型のものを特にトランス脂肪酸と呼んで区別することがある。
その他の分類
その他の分類には以下のようなものがある。

  • 分枝脂肪酸 — 分枝鎖を有する脂肪酸
  • 環状脂肪酸 — 環状構造を有する
  • ヒドロキシ脂肪酸 — ヒドロキシ基を含む
  • 奇数炭素脂肪酸 — 偶数炭素脂肪酸と比較して酸化効率が低い(β酸化)
  • 偶数炭素脂肪酸 — 奇数炭素脂肪酸と比較して酸化効率が高い

化学的性質

炭素数10以上の飽和脂肪酸の融点は鎖長の順に高くなり炭素数30のトリアコンタン酸の融点は 93.6 ℃だが、炭素数9以下の飽和脂肪酸では解離、水素結合によるクラスター形成等様々な原因で、炭素鎖の長さの順になる訳ではない。炭素数2の酢酸では融点が16.7 ℃なのに対して、炭素数5のペンタン酸が融点が最も低く−34.5 ℃である。
飽和脂肪酸は同じ炭素数の不飽和脂肪酸に比べて高い融点を示す。


代謝

ヒトを含む多くの生体内ではエネルギー源として好気的に代謝される(β酸化)。脂肪酸は体内においてはほとんどが筋肉細胞に存在している。筋肉細胞内において、脂肪酸はカルニチンによってミトコンドリア内部に輸送される。ミトコンドリア内膜はアシルCoAを直接透過しないため、カルニチンが脂肪酸アシル運搬体の役割を果たす(動植物共通)。脂肪酸アシルCoAはカルニチンと一時的に結合し、脂肪酸アシルカルニチンを生成する。この反応はミトコンドリア外膜に埋め込まれたカルニチンアシルトランスフェラーゼIにより触媒される。その後、脂肪酸はミトコンドリア内でβ酸化を受け酢酸にまで分解され、生成したアセチルCoAクエン酸回路を通じてエネルギーに転換される。
マウスを対象とした動物実験において、ある種の脂肪酸には腫瘍細胞の脂肪代謝を阻害することにより抗がん効果がある事例が複数報告されている[2][3][4][5]。 奇数炭素脂肪酸は、偶数炭素脂肪酸と比較して酸化効率が低いため、白血病患者の骨髄に含まれるがん細胞のエネルギー源である脂肪酸の代謝を阻害する効果がある事が判明しており、がん阻害剤としての効果が期待される[6][7]
脂肪酸はグリセリンとのエステル体(トリグリセリド)の形で摂取されることが多い。例えば医学用語で「脂肪」や「中性脂肪」と言えば、通常「脂肪酸トリグリセリド」のことを指す。長鎖脂肪酸グリセリド(LCT)と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)とでは、摂取後全く異なる吸収形態を取る[8]。LCT及びMCTも小腸において、エステラーゼ加水分解され、脂肪酸グリセリンになるまでは共通である。しかしLCTは小腸上皮から摂取後、リンパ管に入って全身循環し、胸管を通じて徐々に血液に入る[9]。これに対してMCTは直接血液循環に入る。従ってMCTはすみやかに代謝されるのに対して、LCTの代謝はMCTより遅い(少なくとも数時間)[10]。俗説ではMCTはすみやかにケトン体に変わりケトン体濃度の増加(生理的ケトーシス)を誘導するが、LCTは中性脂肪になり体内に蓄積するという。MCTはケトン体に変わりやすいのは確かだが、インスリンがMCTがケトン体に変わることを阻害しているため、糖質を摂取する通常の食事ではMCTはケトン体を増加させることはない[11]。すなわちMCTは糖質制限食またはケトン食とともに食べないと、MCTはケトン体を増加させることはない。最近ではケトン食にMCTが取り入れられている。
飽和脂肪酸を取り過ぎると、カロリー不足でない限り血清総コレステロール濃度を上昇させ、虚血性心疾患を起こしやすくすると言われている。飽和脂肪酸は、WHO/FAOが肥満問題に対する戦略のひとつとして摂取制限を挙げている[12]