不飽和脂肪酸( ふほうわしぼうさん、英:unsaturated fatty acid )

 

概 要
一覧表
多く含む油類
参考となるサイト

 

【概 要】

・「不飽和炭素結合とは炭素分子鎖における炭素同士の不飽和結合、すなわち炭素二重結合または三重結合のことである。」(ウィキペディア

・「天然に見られる不飽和脂肪酸は1つ以上の二重結合を有しており、脂肪中の飽和脂肪酸と置き換わることで、融点や流動性など脂肪の特性に変化を与えている。」(ウィキペディア

・「いくつかの不飽和脂肪酸はプロスタグランジン類に代表されるオータコイドの生体内原料として特に重要である。」(ウィキペディア

  

 

【不飽和脂肪酸一覧表】

以下の一覧表は「ウィキペディア」を参考に作成したものだが、すべての不飽和脂肪酸を列挙しているかどうかは不明。

不飽和脂肪酸
一 価
1
 ミリストレイン酸 ミリスチン酸から生合成、天然にはあまり見られない。
2
 パルミトレイン酸 あらゆる組織に存在するが、特に肝臓で濃度が高い。パルミチン酸から生合成
3
 オレイン酸 オリーブ の油から単離されたことが由来、ω-9脂肪酸、融点 16.3℃
4
 ガドレイン酸 魚油(タラの肝油が由来)に特に多い、融点23-24℃
5
 エルカ酸 ナタネカラシの種から作られる植物油におおい、ω-9脂肪酸、融点 33.8℃
6
 ネルボン酸 白質スフィンゴ脂質を構成する脂肪酸に比較的多い、ω-9脂肪酸、融点 42-43℃

n-3
1

 α-リノレン酸 (ALA)

多くの植物油で見られる。ω3 脂肪酸、融点 -11℃
2

 ステアリドン酸 (STD)

α-リノレン酸から生合成、天然の供給源は、アサクロスグリなど
3

 エイコサトリエン酸 (ETE) 

二枚貝であるモエギイガイから発見
4

 エイコサテトラエン酸 (ETA)

 
5

 エイコサペンタエン酸 (EPA)

魚油食品、肝油ニシンサバなどに多く含まれる。融点 -54--53℃、高度不飽和脂肪酸 
6

 ドコサペンタエン酸 (DPA)クルパノドン酸

高度不飽和脂肪酸
7

 ドコサヘキサエン酸 (DHA)

青魚魚油に多く含まれる高度不飽和脂肪酸必須脂肪酸、融点 -44℃
8

 テトラコサペンタエン酸

 
9

 テトラコサヘキサエン酸 (ニシン酸)

 
n-6
1

 リノール酸

植物油に多く、特にベニバナ油やコーン油(52-58%)、大豆油(52-58%)に多い。、必須脂肪酸、融点 -5℃
2

 γ-リノレン酸

リノール酸 を原料として生産できるが、多くは食物から摂取
3

 エイコサジエン酸

 
4

 ジホモ-γ-リノレン酸

γ-リノレン酸を伸長することによって得られる。
5

 アラキドン酸

主に母乳などに含まれ、体内ではリノール酸を原料にして生合成される。融点 -49℃
6

 ドコサジエン酸

 
7

 ドコサテトラエン酸

すべての不飽和結合がZ型(cis型)の異性体をアドレン酸と呼ぶ。
8

 ドコサペンタエン酸

 
9

 カレンジン酸

キンセンカ(英名:カレンデュラ)からこれが得られる。

 


【不飽和脂肪酸を多く含む油類】
《一価不飽和脂肪酸を多く含む油類》

 

名 称

不飽和脂肪酸

飽和脂肪酸

一価 -

多価 -

 サフラワー油

76%

16%

8%

 オリーブオイル

75%

10%

15%

 なたね油

61%

33%

6%

 マーガリン

58%

9%

33%

 牛 脂

48%

4%

48%

 

《多価不飽和脂肪酸を多く含む油類》

 

名 称

不飽和脂肪酸

飽和脂肪酸

多価 -

一価 -

 ひまわり油

68%

20%

12%

 大豆油

60%

25%

15%

 綿実油

57%

20%

23%

 トウモロコシ油

52%

35%

13%

 ゴマ油

45%

40%

15%

 

【参考となるサイト】

以下は「ウィキペディア」の解説文となる。

不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん、英語: unsaturated fatty acid)とは、1つ以上の不飽和の炭素結合をもつ脂肪酸である。不飽和炭素結合とは炭素分子鎖における炭素同士の不飽和結合、すなわち炭素二重結合または三重結合のことである。天然に見られる不飽和脂肪酸は1つ以上の二重結合を有しており、脂肪中の飽和脂肪酸と置き換わることで、融点や流動性など脂肪の特性に変化を与えている。また、いくつかの不飽和脂肪酸はプロスタグランジン類に代表されるオータコイドの生体内原料として特に重要である。
栄養素としては飽和脂肪酸と異なり、不飽和脂肪酸のグループには人体に必要な必須脂肪酸が含まれる。不飽和脂肪酸は大きく一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸に分かれる。このうち後者が必須脂肪酸となり、さらにω-6脂肪酸ω-3脂肪酸に分かれる。


性質

不飽和脂肪酸は同じ炭素数の飽和脂肪酸に比べて、低い融点を示し不飽和結合の数が多いほど顕著である。とくに魚類など寒冷地に生息する変温動物にとって、不飽和脂肪酸の低い融点は生体構成脂質として有用と考えられる。さらに、魚類は多種多様な不飽和脂肪酸を利用している。
また、不飽和脂肪酸に二重結合が複数あるとき自動酸化されやすく油脂の酸敗や自然発火などの原因となっている。リノール酸で言えば11番の炭素原子は2つの二重結合に挟まれていて活性を持つ。さらに、リノレン酸は11番のみならず14番も同様に活性を持つ。逆にオレイン酸は二重結合が1つなので酸化されにくい。酸化によって脂肪酸分子の重合が進むと、高分子化して固化するが、オリーブ油は70 - 80%がオレイン酸であるため、他の植物油に比べると固化しにくい。
そして、不飽和脂肪酸が活性酸素と反応して生じる脂肪酸酸化物ラジカルは生体内で比較的長寿命であることから、DNAが活性酸素で切断される発癌機構に対しての寄与も示唆されている。