私たちの身体の中のウイルスに感染した細胞やガン化した細胞を攻撃してくれるリンパ球の一種。
【もっと詳しく】
造血幹細胞から分化したもので、生まれながらにしてウイルスに感染した細胞やガン化した細胞を攻撃する能力を有する自然免疫細胞の一つ。その形態的な特徴から大型顆粒リンパ球と呼ばれることもある。リンパ球全体の15~20%を占める。
常に体内を巡回しながらウイルスに感染した細胞やガン化した細胞を単独で攻撃している。攻撃の対象となる細胞は以下になる。
・MHCクラスⅠ分子を欠いた細胞
・特有の糖鎖を表面に発現している細胞
⇒ 骨髄幹細胞からの分化の模式図
<いろいろなサイトで見つけた解説文>
・免疫プラザより
「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、単独でウィルスに立ち向かいますが十分に機能するまで1~2日を必要とし、その後活性化されます。」
「ナチュラルキラー細胞の活性(破壊能力)は、逆に、加齢とともに低下していきます。ナチュラルキラー細胞の活性化は、右図のように15歳前後をピークに加齢と共に減少傾向する。」
・脂質と血栓の医学より
「NK細胞活性は、脂肪摂取を制限すると、増強する:NK細胞活性は、高脂肪食(特に、n-3系の多価不飽和脂肪酸)を摂取すると、低下する。」
「入浴などで、体温が1℃上昇すると、NK細胞活性が、増加する。体温が低下すると、免疫力(NK細胞活性)が、37%低下する。」
「腫瘍細胞を傷害する活性は、キラーT細胞(CTL:cytotoxic T cells)の方が強い。」
<存在場所>
ナチュラルキラー細胞は末梢血中だけでなく、肝類洞、腸管上皮、肺上皮、および胎盤などにも存在している。
<表面マーカー>
※以下はリンパ球の特異的な表面マーカーの違いだが、「脂質と血栓の医学」のサイトを参考に作成しているが、私の理解不足により正確性に欠ける可能性がある。
1 |
T細胞 |
TCR、CD3、CD4、CD8 |
2 |
B細胞 |
Ig、CD19、CD20 |
3 |
ナチュラルキラー細胞 |
CD2、IL-2Rβ、LFA-1 |
<産出するサイトカイン>
ナチュラルキラー細胞が産出するサイトカインは何種類もあるが、注目したいのは以下の2つになる。
1 |
IFN-γ |
interferon-gamma、インターフェロン
「IFN typeⅡ」と呼ばれるもので、ナチュラルキラー細胞の細胞障害性を増強させる。 |
2 |
TNF-α |
tumor necrosis factor alpha 腫瘍壊死因子
腫瘍細胞の増殖を抑制する。 |
<活性化するサイトカイン>
ナチュラルキラー細胞を活性化するサイトカインには次のようなものがある。
1 |
IFN-α |
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2 |
IFN-β |
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3 |
IFN-γ |
|
4 |
IL-2 |
|
5 |
IL-12 |
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6 |
IL-15 |
|
<受容体>
※以下はナチュラルキラー細胞の受容体だが、2つのサイトを元にしてそれぞれ別々に作成している。私の理解不足により正確性に欠ける可能性がある。
「脂質と血栓の医学」より
1 |
NK細胞受容体
(標的認識ユニット) |
サイトからの引用文
「NK細胞表面には、レクチン様分子のNK細胞受容体(NKレセプター)が存在し、標的細胞の糖鎖を認識する(結合する)ものと考えられて来た(レクチンとは、植物などに存在する蛋白質で、細胞表面の特定の糖鎖構造と結合する性質がある)。」
・CD161 |
2 |
MHCクラスⅠ分子受容体 |
MHCクラスⅠ分子と結合する受容体で、これによってMHCクラスⅠ分子を発現していない細胞を認識して攻撃対象としている。
・KIR受容体(NKTA、CD158) ・NKG2受容体(NKG2D) |
3 |
LFA-1 |
humanleukocyte function-associated antigen-1 接着分子
サイトからの引用文
「NK細胞が標的細胞と結合(接着)するには、LFA-1を介して、標的細胞表面のICAM-1との結合も必要。」 |
4 |
Fcレセプター |
サイトからの引用文
「 NK細胞表面には、免疫グロブリン(IgG)のFc部分と結合する、Fcレセプター(FcγRIII)が存在する。このFcレセプターの糖蛋白質は、CD16。(途中略)このような、抗体を介する標的細胞の破壊は、ADCC(antibody-dependant cell-mediated cytotoxicity:抗体依存性細胞障害)と呼ばれ、単球・マクロファージも行う。」 |
5 |
Fasリガンド |
ナチュラルキラー細胞の細胞表面にはFasリガンドが存在し、攻撃対象の細胞表面のFas抗原と結合してアポトーシスに導く。 |
6 |
CD57
(HNK-1糖鎖抗原) |
サイトからの引用文
「(前部略)HNK-1糖鎖抗原は、ヒトのNK細胞などの細胞表面にも発現しており、別名CD57、Leu7と呼ばれている(単クローン抗体を開発したメーカーが異なるために、違う命名がされているが、CD57とLeu7は、同じ抗原を認識している)。」 |
「ウィキペディア」より
1 |
CD94:NKG2
(ヘテロ二量体) |
サイトからの引用文
「齧歯類と霊長類で保存されているCタイプレクチンファミリー受容体で、HLA-Eのような非典型的(かつ非多型的)なMHC I分子を認識する。HLA-Eの細胞表面での発現は典型的(多型的)なMHCクラスI分子のリーダーペプチドの存在に依存しているため、間接的にではあるが、これは典型的HLA分子の発現量を検出する手段になっている。」 |
2 |
Ly49(ホモ二量体) |
サイトからの引用文
「比較的由来の古いCタイプレクチンファミリー受容体で、マウスでは複数遺伝子があるがヒトは偽遺伝子が1つあるだけである。典型的(多型的)なMHCクラスI分子の受容体」 |
3 |
KIR |
Killer cell Immunoglobulin-like Receptors
サイトからの引用文
「最近進化したIg様細胞外ドメインを持つ受容体の多遺伝子族に属する。霊長類では、典型的なMHCクラスI分子(HLA-A, -B, -C)と非典型的なHLA-Gの両方に対する主要な受容体である。特定のHLAサブタイプに特異的なKIRもある」 |
4 |
ILTまたはLIR |
leucocyte inhibitory receptors
サイトからの引用文
「最近発見されたIg受容体ファミリーのメンバー」 |
<標的細胞攻撃の種類>
1 |
パーフォリン、グランザイム |
ナチュラルキラー細胞の細胞質基質に存在している顆粒の中のパーフォリン、グランザイムというタンパク質を利用して標的細胞にアポトーシスに導く。 |
2 |
抗体依存性細胞障害(ADCC) |
Fcレセプターによる抗体を介する標的細胞の破壊 |
3 |
Fasリガンド |
細胞表面のFasリガンドが、標的細胞のFasと結合してアポトーシスに導く。 |
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅠ
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅡ
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅢ
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅣ(黄色い細胞)
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅤ
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅥ(オレンジ)
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅦ
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅧ
⇒(走査)電子顕微鏡の写真を掲載しているサイトⅨ
【参考にしたサイト】
・ウィキペディア
・「脂質と血栓の医学」の「NK細胞」
・「免疫プラザ」の「No.7、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)とは?」