私たちの身体のそれぞれの細胞内にある器官(細胞小器官)の一つで、私達が活動するときに必要なエネルギーの生産工場となっている。
【もっと詳しく】
私達の体は約60兆の細胞からできていると言われているが、ミトコンドリアはそのほぼ全ての細胞に存在し、その総量は体重の約1割になると言われている。肝細胞に至っては、細胞全体の22%になる。(2012年の雑誌「ニュートン」の12月号を参考に)
< 形 >
ギリシャ語でミトコンドリアの「ミト」は「糸」を、そして「コンドリア」は「粒子」を意味する。ネットで画像検索をしてみると、その形状は「カプセル型」がほとんどである。ただ、実際は、ミトコンドリアは細胞の中で頻繁に癒合や分裂を繰り返しているのでもう少し複雑な形状のようだ。(2012年の雑誌「ニュートン」の12月号を参考に)
「ウィキペディア」では以下のような説明になっている。
「直径は0.5μm程度であるが、形状は生物や細胞の置かれている条件によって多様である。球形、円筒形のものから紐状あるいは網目状のものまであり、長さが10μmに達するものも珍しくない」
< 数 >
人の場合、1細胞あたり「100個から3,000個」ほどとその幅は広い。エネルギーの生産工場なので、活発に活動する細胞ほどその数は多く、特に、伸筋、骨格筋、及び神経の細胞には多い。
また、以下のような解説をしているサイトも見受けられる。
「細胞内のミトコンドリア数は、細胞の種類や、代謝状態により異なる:人間では、精子(spermatozoa)には16個のミトコンドリアしか存在しなしが、卵子(oocyte:卵母細胞)には100,000ものミトコンドリアが存在すると言う。
」(精子の方が頑張って移動しているような気がしなくもないが、受精後の卵子の細胞分裂には多くのエネルギーが必要なのだろう…)
< 構造及び構成要素>
ミトコンドリアの2重膜の構造になっていて、以下がその主な構成要素を上げたが、それ以外に種々のタンパク質や酵素を含んでいる。
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内 膜 |
内側の膜 |
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外 膜 |
外側の膜 |
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内膜に存在し、ATPを合成する酵素 |
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DNA |
独自のDNAを持つ。1細胞あたり数千 |
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蛋白質の生産工場 |
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クリステ |
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内膜の内側の空間 |
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マトリックスに存在する顆粒状の物質 |
< 働 き >
生命活動の元となるATPを産出している。 ただし、ATPを産出に伴って「活性酸素」も産出される。また、エネルギーの産生には酸素が必要でミトコンドリア内に取り込まれる。そして、産出の結果、二酸化炭素が発生しミトコンドリア外に排出される。その排出された二酸化炭素は血流によって肺まで運ばれ、そこでガス交換される。
機能しなくなった不要な細胞やガン化下した細胞を処理(アポトーシス)している。
< その他 >
ミトコンドリアは独自のDNAを持つことから、太古の昔は別の生物だったと考えられている。以下、2012年の雑誌「ニュートン」の12月号からの抜粋文となる。
「20~15億年前の地球には、酸素と糖を使ってエネルギーを作る細菌(Aとする)がいた。あるとき、別の細菌(Bとする)が細菌Aを飲み込んでしまった。飲み込まれた細菌Aは細菌Bにエネルギーを与える代わりに細菌Bから安全な場所とエネルギーの生産に必要な糖を提供してもらい、生きのびた。こうして細菌Bが進化して生まれたのが、ヒトを含む「真核生物(核と持つ生物)」だ。その中に住みついた細菌Aこそが、現在のミトコンドリアである」
私達の細胞の核にあるDNAは父親と母親の両方から1セットずつ譲り受けるが、ミトコンドリア内のDNAは母親からしか譲り受けない。精子由来のミトコンドリアは卵子内で細かく分解されてしまう。それで、そのミトコンドリアの母親譲りのDNAをたどっていくと、起源はアフリカにあるようである。
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