口蓋扁桃 ( こうがいへんとう、英: palatine tonsil

 

 4つある扁桃(リンパ性器官)の一つで、口を大きく開くと奥の左右に確認ができる対性の扁桃となる。

 

 

【もっと詳しく】

 口蓋扁桃は、口峡の側壁の口蓋洞の中に納まっているが、その形状や大きさは個人差がかなり見られる。以下、「」の引用文は全て「日本人体解剖学 (下巻)」からのものとなる。

 

「個人によって形状が異なり、扁桃洞から咽頭腔にのびることがあり、ときには全く平らであり、あるいはその中央が陥凹して周辺部が提状に高くなることがある。」

「口蓋扁桃は卵円形で、その長軸は垂直に向かい、内・外側面と上・下極、前・後縁をもつ。内側面の粘膜は深い多数の円形陥凹すなわち扁桃小窩とそれにつづく扁桃陰窩が見られる。」

 

「生後7~8歳で最大となりその後委縮する。幼年期における大きさは、上・下径20~22㎜、前後径18~20㎜、内外側径12~15㎜。」

 

 内側面:「粘膜は深い多数の円形陥凹すなわち扁桃小窩とそれにつづく扁桃陰窩が見られる。」

 外側面:「線維膜に覆われ、口蓋咽頭筋、上咽頭収縮筋に向かう。」

 

「扁桃小窩およびこれにつづく腔(小胞腔)は、重層扁平上皮でおおわれ、これに接した粘膜固有層にはリンパ小節が多数集まり、小節には胚中心がみられる。ここで産出されたリンパ球は、上皮を通して口腔に出て、いわゆる唾液小体となる。」

 

 

■ 脈管/神経 ■

 以下が口蓋扁桃と関係する脈管や神経になる。

動 脈

顔面動脈からの上行口蓋動脈および扁桃枝外頚動脈からの上行咽頭動脈および舌背枝(舌動脈から)が分布する。

 ⇒ 口蓋扁桃と動脈との関係を表したイラストを掲載しているサイト

静 脈
顔面静脈に注ぎ、また咽頭静脈叢と連絡する。
リンパ管
多数みられる。各小胞周囲のリンパ叢から始まり、扁桃の外側面を過ぎ、咽頭を貫き、下顎の後下方で舌骨の大角の近くにある深頚リンパ節に入る。
神 経
咽頭神経叢からの枝が来て、小さな扁桃神経叢を形成する。

「最も扁桃に近い重要な血管は顔面動脈で、とくにそれが迂回して走る際は関係が緊密である。上行口蓋動脈および扁桃枝(ともに顔面動脈から)は関係が最も深く、内頚動脈および内頚静脈はかなり落ち込んで、後外側方(約1㎝弱)にみられ、また外頚動脈はさらに外側方に位置する。上行咽頭動脈は、扁桃の後方に見られる。」

 

■ 周囲の筋 ■

 口蓋扁桃の周囲にある筋は以下になる。

「口蓋扁桃の外側面は線維膜に覆われ、口蓋咽頭筋上咽頭収縮筋に向かう。咽頭壁の外側には内側翼突筋がり、その後方部はリンパ様組織で満たされ、血管・神経を含む。」

 

【イラスト・写真を掲載しているサイト】

イラストを掲載しているサイトⅠ(口腔正面)

イラストを掲載しているサイトⅡ(口腔・咽頭部、正中断面)

イラストを掲載しているサイトⅢ(舌上面)

生体の写真を掲載しているサイトⅠ

生体の写真を掲載しているサイトⅡ

生体の写真を掲載しているサイトⅢ

 

 

【関連語句】

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ワイダイエルの咽頭輪 Waldyer's tonsillar ring