関節包の内層にあたる膜のことで2層よりなる。血管に富み、滑液を産出して関節腔に送り出し、関節軟骨に栄養分を与えている。
下の表は、その下にあるいくつかの資料をまとめたものとなる。
「日本人体解剖学 (上巻) 」には以下のような解説が見られる。
「関節腔に向かう面は扁平な細胞に覆われ、その外側は弾性繊維を含んだ結合組織からなる。滑膜は血管に富み、透明な粘稠(ねんちゅう)性の滑液(synovial fluid)を分泌して、運動の際、関節面の摩擦を軽減させる。滑膜はさらに関節腔内に突出して滑膜ヒダ(synovial fold)となり、特に滑膜ヒダに脂肪が多いものを脂肪ヒダといい、またごく小さな突起を滑膜絨毛という。大きな関節では、滑膜は線維膜を通して外方に突出し滑液を含む包を作ることがある。これを関節滑液包といい、その多くは筋あるいは腱の下にあってその運動を滑らかにする。また、関節包の一部が時に肥大して突出することがあり、これを嚢状陥凹と呼んでいる。(例」肘関節などに見られる)」
また、以下は「船戸和弥のホームページ」の解説文となる。
「関節包(関節嚢)の内層は疎な、柔らかい結合組織からなり、滑膜(滑液層)という。滑膜には多数の小さい滑膜絨毛が突出したり、また脂肪組織塊を含む滑膜ヒダがあって関節内の死腔を埋めることがある。線維膜は部分的に厚くなって関節を補強するが、靱帯はこれがとくに発達したものまたはそれとは別に形成されたものである。
滑膜は表層の滑膜細胞と、弾性線維、血管および神経が含まれる固有層とからなる。血管の豊富なことは関節の活動と直接の関連があり、したがって活動の盛んな関節はあまり活動しない関節よりも概して血管に富んでいる。滑膜に慢性的な刺激があると、滑液の分泌亢進がおこり、関節腔中に浸出液がたまる。このようなとき、線維層の弱い部分から滑膜が飛び出し、滑液嚢胞を形成することがある。 」
そして、以下のように解説しているサイトも見受けられる。
「滑膜は厚さ約25μmで、膜といっても基底膜のように細胞が隙間なく並んでいるわけではなく、結合組織の中に線維芽細胞様の滑膜細胞とマクロファージおよび少数のリンパ球が存在する。滑膜そのものがひだを形成し、関節を滑らかに動くようにしている。また滑膜細胞は関節液を産生し、軟骨へ栄養を供給している。関節液にはヒアルロン酸、ラブリシン(lubricin、糖タンパク質の一種)が豊富に含まれる。軟骨には血管がなく、軟骨細胞への栄養は関節液に依存している。そのため滑膜には血管が豊富に分布している。 」
【参考になるサイト】
・イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅰ
・イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅱ
・イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅲ
【関連語句】
1 |
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synovial fluid / synovia |
2 |
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synovial fold |
3 |
脂肪ヒダ |
plicae adiposae |
4 |
滑膜絨毛 |
synovial villi |
5 |
関節滑液包 |
synovial bursa of joint |
6 |
嚢状陥凹 |
sacciform recess |