【 概 要 】
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・両者は連続した膜となる。
【 腹膜と臓器 】
腹膜で覆われた臓器はその覆われ方により以下のように区別することができる。「日本人体解剖学 (下巻) 」を参考にして作成。
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名 称 |
解 説 / 例 |
1 |
腹膜内臓器
intraperitoneal organs |
臓側腹膜で完全に覆われた臓器
例 :空 腸、回腸 |
2 |
腹膜後臓器
retroperitoneal organs |
後腹壁近くに位置し、表面の一部だけがおおわれ腹膜の後側にある臓器
例 : 腎臓、副腎、膵臓、十二指腸、尿管、腹大動脈、下大静脈、交感神経幹 |
3 |
半腹膜内臓器 |
腹膜後臓器がその一部を二次的に後腹壁に癒着したようになり、半分が腹膜でおおわれたような臓器 例 : 上行結腸、下行結腸
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【 構 造 】
「日本人体解剖学 (下巻) 」には以下のような解説が見られる。
「腹膜は、漿膜と結合組織である漿膜下組織からなる。漿膜は単層扁平上皮細胞からなる極めて薄い層であり、肉眼的にはその下にある漿膜下組織まで含めて腹膜として扱っている」
上記の説明だが、簡単な図で表すと以下のようになる。
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上記の「日本人体解剖学 (下巻) 」の腹膜の構造の解説だが、「漿膜」自体が「単層細胞層+結合組織層」という構成になっているので、それでいくと「結合組織層」が二重になることになる。よって、以下でよいと思われるのだが…。
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「ウィキペディア」では以下のように解説している。
「腹膜は外表面を覆う単一の中皮細胞層(mesothelium)と結合組織である中皮下層(submesothelial layer)より構成される。」
【 働 き 】
腹膜の働きとして以下のようなものが挙げられる。
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腹膜は漿液を分泌することによりその表面は滑らかになっていて、臓器間同士の摩擦を軽減してお互いに損傷をするのを防いでいる。
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以下は「日本人体解剖学 (下巻) 」の解説となる。
「腹膜からの滲出液や細胞は、外傷や感染における異物や細菌を排除したり、感染を限局性に止めさせる。大綱は、刺激のある部位に移動し、感染の広がりを阻むといわれる。」
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特に大網では多くの脂肪を蓄えている。おそらく、「エネルギーの貯蓄」というよりは、外部からの刺激に対して緩衝材のような役割を果たしていると思われる。
【 脈 管 】
「日本人体解剖学 (下巻) 」を参考にして作成。
1 |
血 管 |
極めて少ない。 |
2 |
リンパ管 |
表在性および深在性のリンパ叢を形成する。 |
3 |
神経 |
自律神経で、内臓求心性線維の一部は自由終末となり、一部は層板小体(ファーター・パチニ小体)をもって終わる。臓側腹膜の大綱には、痛覚を感じる神経はないといわれる。 |
【 その他 】
腹膜と関連する語句として以下のようなものが挙げられる。
・ 間 膜 : 腹膜が二重になっている部分のこと。詳しくは間膜の解説ページを参照のこと。
・ 乳 斑 :
・ 腹 水 (ascites) :
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