静脈管(胎児期)( じょうみゃくかん、英:ductus venosus )

 

 
胎児循環(一部)
静脈管
肝臓(臓側面)
 

 

【流入量】

臍静脈の血液は門脈と下大静脈(静脈管を通じて)に注ぐが、その流入量は下大静脈へ注ぐ方が多いようである。

 ・「静脈管は肝臓を迂回するため、胎盤からの大部分の血液は肝臓の毛細血管網を通過することなく、直接に心臓に注ぐ。」(船戸和也のHP)

 ・「AI」に聞いてみたところ:「臍静脈の血流のうち、約50〜60%は静脈管を通って下大静脈へ。」

【その他】

 ・「通常は出生後、臍動脈が閉じてから臍静脈も閉じる形となる」(Wikipedia)

 

日本人体解剖学 」では以下のように解説している。

「 胎盤でガス交換し動脈血となり栄養物を与えられた血液は1本の臍静脈を通り、臍帯中を臍動脈と平行して胎児の臍輪に達する。臍輪で、臍静脈は臍動脈から離れて肝鎌状間膜中を通り肝臓の下面に達し、ここで2枝に分かれる。その1枝は静脈管で、肝臓の下面を通って下大静脈に入る。他の1枝は門脈に合流する。」 

 

 また、「 船戸和弥のHP 」では以下のように解説している。

「 臍静脈は肝臓の両側を走行し、胎盤からの酸素に富んだ血液を送るようになる。右臍静脈は胚子期の終わりに消失するため、左臍静脈だけが胎盤からの酸素に富んだ血液を胚子に送る。このような細静脈の構造的変化は以下に述べる様に要約される(図14-5)。すなわち、

 ・右臍静脈と肝臓と静脈洞の間に位置する臍静脈尾側部は退行する。

 ・左臍静脈尾側部の退行しない部位が臍静脈として存続する。

 ・肝臓内に大きな吻合静脈である静脈管が発生して(図14-5C)、臍静脈と下大静脈inferior vena cava(IVC)を連結する。

 静脈管は肝臓を迂回するため、胎盤からの大部分の血液は肝臓の毛細血管網を通過することなく、直接に心臓に注ぐ。(Moore人体発生学)) 」