上腸間膜動脈神経叢 ( 交感神経幹からの枝 )

 (じょうちょうかんまくどうみゃくしんけいそう 、英 :superior mesentericplexus

 

 上腸間膜動脈神経叢とは

 ・不対性の神経叢

 ・「一部は下膵十二指腸動脈に伴って膵頭および十二指腸下部に至り、胃神経叢の枝と交通する。」( 日本人体解剖学 (上巻)

 

 ■ 関係する神経叢 ■

「 日本人体解剖学 (上巻) 」では以下のように解説している。

「上・下腸間膜動脈神経叢および胃神経叢から出る枝は、胃・腸壁に穿入して腸筋神経叢をつくる。すなわち、腸壁における内・外筋層間で大きな神経細胞を含む筋層間神経叢(Auerbachの神経叢)をつくり、さらに内方に進んで粘膜下層で粘膜下神経叢(Meissnerの神経叢)をつくる。筋層間神経叢の発育は著しいが、粘膜下神経叢は薄弱である。なお、漿膜下には漿膜下神経叢が見られる。」

  

 

 

 ■ 神経節 ■

「 日本人体解剖学 (上巻) 」には以下のような解説文が見られる。

「上腸間膜動脈神経叢中の上腸間膜動脈の起始部の下側には、不対の 上腸間膜動脈神経節 が見られる。」

 

 以下は交感神経の腹部からの枝を簡単に表した図となる。

 

 

 以下は「 Rauber-Kopsch解剖学 」の解説文となる。

「これは腹腔神経叢の下縁から出ていて,白色と灰白色のまじつた線維束が網状に結合して上腸間膜動脈とその分枝に伴なって進んでいる.上腸間膜動脈神経叢では内臓神経迷走神経の線維がその形成にあずがっていることが明瞭にみられる.上腸間膜動脈の諸枝に伴なってこの神経叢の枝が膵頭, 十二指腸の下部と上行部,小腸に達し,また横行結腸の一部までを含む大腸の初まりの部分にも達している.
小腸壁に腸間膜が付着するところでこれらの神経が漿膜の下で神経叢様の結合をなし,ここから多数の細い枝がでて縦走筋を貫き,縦走筋層と輪走筋層との間にある小さい神経節をたくさんにもった神経叢に達する.この神経叢が腸筋神経叢Plexus myentericusあるいはアウエルバツハ神経叢Auerbachscher Plexusと呼ばれるものである.この神経叢は縦走する束と横走する束とからなり,その網の結び目のところに無髄神経線維のほか多数の小形および中等大の多極神経細胞がある.これらの神経細胞から新たに無髄線維がはじまる.またこの神経叢からはその内方に接して極めて細い無髄線維よりなって神経細胞をもっていない2次の神経叢が生じて,これが筋層を支配している.アウエルバッハ神経叢は小腸大腸の全長にわたって存在し,胃においても欠けていないで,食道にもずっと広がって咽頭壁に達し,ここで終わっている,頬筋の領域にはもはや存在しない(90頁参照).
腸筋神経叢より内方で,多数の細い神経枝によってこの神経叢と結合して,腸の粘膜下組織の中に粘膜下神経叢Plexus submucosus,すなわちマイスネル神経叢Meissnersches Geflechtがある.この神経叢の網の目はかなり広い,そしてやはり神経細胞が孤立したり,あるいは群をなして存在している.これは粘膜下組織の血管や,ブルンネル腺を支配するものであり,おそらくはまたその枝が粘膜筋板,さらにまた粘膜自身にもゆくのであろう.粘膜の中ではこれらの細い枝がリーベルキューン腺をとりまく神経叢を形成している.繊細な神経網が腸絨毛Zottenの中にまで入っている.
腸間膜の神経にはファーテル層板小体が見られる.特にこの層板小体は脾神経叢において,また上腸間膜動脈神経叢の初まりの部分において見られる.また膵臓の後方にある結合組織の中にもこれが必ず存在する. 」

 

 また、以下は「Wikipedia」の解説文となる。

「The superior mesenteric plexus is a continuation of the lower part of the celiac plexus, receiving a branch from the junction of the right vagus nerve with the plexus.
It surrounds the superior mesenteric artery, accompanies it into the mesentery, and divides into a number of secondary plexuses, which are distributed to all the parts supplied by the artery, viz., pancreatic branches to the pancreas; intestinal branches to the small intestine; and ileocolic, right colic, and middle colic branches, which supply the corresponding parts of the great intestine.
The nerves composing this plexus are white in color and firm in texture; in the upper part of the plexus close to the origin of the superior mesenteric artery is the superior mesenteric ganglion.」

 

 

【参考になるサイト】

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅰ