・概 要
 ・分 布側頭枝頬骨枝頬筋枝下顎縁枝頚枝

 

 

 顔面神経の耳下腺からの枝とは

日本人体解剖学 (上巻) 」では以下のように解説している。

「耳下腺神経叢から出る枝(顔面枝):顔面神経は茎乳突孔を出たのにに、耳下腺に進入して前方に走り数枝に分かれ、腺内でこれらの枝は互いに吻合して複雑な耳下腺神経叢をつくる。この神経叢からは、さらに多数の枝が出て放線状に顔面の表層の筋(表情筋)に分布し、各筋枝間には吻合がある。」

 

 「船戸和弥のホームページ」では、上の5つの枝にプラスして「舌枝」という名称の枝を挙げている。

 舌 枝 : 顔面神経の舌枝は舌へいたる不定の枝。ときに茎突舌骨筋とともに起こる。

 

 各枝が支配する筋だが、資料によって多少の差異が見られる。「日本人体解剖学 (上巻) 」の中でも、P537に掲載されているイラストのものと、P540の各枝の解説文では異なっている。ここでは、

 

■ 側頭枝 (temporal branches) ■

 3本のことが多い。頬骨弓を超えて前上方に走り以下の筋に分布する。

 

日本人体解剖学 (上巻) 」のイラストでは:前頭筋、眼輪筋、皺眉筋、前耳介筋

日本人体解剖学 (上巻) 」の解説文では:眼輪筋上部、側頭頭頂筋、(後頭前頭筋の)前頭筋、前耳介筋

船戸和弥のホームページ」では:眼輪筋上部、前頭筋、側頭頭頂筋、耳介前部の筋

 

■ 頬骨枝 (zygomatic branches) ■

 ※資料によって支配する筋はかなりの違いが見られる。ここでは「日本人体解剖学 (上巻) 」のイラストの筋に「船戸和弥のホームページ」の「眼瞼裂と口との間の表情筋」を加えてみた。

 3~4本。頬骨に向かって走り、これをこえて前方に進んで以下の筋に分布する。

 

日本人体解剖学 (上巻) 」のイラストでは:眉毛下制筋、鼻筋、大・小頬骨筋、口角挙筋

日本人体解剖学 (上巻) 」の解説文では:眼輪筋(外側部)、大頬骨筋

船戸和弥のホームページ」では:眼輪筋(側部)、眼瞼裂と口との間の表情筋

 

■ 頬筋枝 (buccal branches) ■

 3~4本で、上・下の2部に分けることができる。

 ※「日本人体解剖学 (上巻) 」のイラストを基本としているため、上部の神経線維の分布する筋

が他の資料のものとはかなり異なってくる。

 

日本人体解剖学 (上巻) 」のイラストでは:

 上部:口輪筋(上部)、頬筋  下部:口輪筋(下部)、頬筋、笑筋

日本人体解剖学 (上巻) 」の解説文では:

 上部:上唇鼻翼挙筋、眼窩下筋、小頬骨筋、鼻筋、口角挙筋、頬筋、口輪筋(上部)

 下部:口輪筋(下部)、頬筋

船戸和弥のホームページ」では:

 上部:眼角筋、眼窩下筋、小頬骨筋、口角挙筋、鼻筋、頬筋、口輪筋(上部) 

 下部:口輪筋(下部)、頬筋

 

■ 下顎縁枝 (marginal mandibular branch) ■

 1~2本で、下顎下縁に沿って前方に走る。

 ※頬筋枝の下部の神経線維の分布で「笑筋」を入れているためここでは除外した。事実、「日本人体解剖学 (上巻) 」のp239の「笑筋」の解説では、「神経支配:頬筋枝」となっている。

 

日本人体解剖学 (上巻) 」のイラストでは:記載なし。

日本人体解剖学 (上巻) 」の解説文では:笑筋、口角下制筋、下唇下制筋、オトガイ筋

船戸和弥のホームページ」では:笑筋、口角下制筋、下唇下制筋、オトガイ筋

 

■ 頚枝 (ceervical branch) ■

 広頚筋におおわれて前下方に走る。

 

日本人体解剖学 (上巻) 」のイラストでは:記載なし。

日本人体解剖学 (上巻) 」の解説文では:広頚筋

船戸和弥のホームページ」では:広頚筋

 

   

 

【参考になるサイト】

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅰ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅱ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅲ