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解剖学 - 筋系 - 船戸和弥のHP

 

船戸和弥のHP」の「Rauber-Kopsch解剖学」の大胸筋の解説の引用文

 

変異:この筋は全部(きわめてまれ),あるいは一部が欠如していることがある.個々の部分が欠けていることは比較的しばしばみられる.表層と深層とに分れて重複しているもの,他側の大胸筋と結合しているもの,三角筋・腹直筋・上腕二頭筋・広背筋・小胸筋・胸骨筋と結合しているものがみられる.胸肋部は上部の4個の肋骨だけから起っていることが多いが,この起始がまた第7,第8,第9肋骨にまで達していることもあり,腹直筋鞘の上にまでおよんでいることもある.腱の線維束のあるものはふつう上腕筋膜に達し,他のものは結節間溝および肩関節包に達している.両側の筋がつよく発達しているときには,筋の内側縁が胸骨のところで直接に接し合っている,胸肋部と鎖骨部とのあいだの裂け目はまれに大き一いことがある.この筋の外側縁と三角筋との間にある三角形の裂け目,すなわち三角筋大胸筋三角Trigonum deltoideopectorale(図506)は重要であり,これは皮膚の上ではモーレンハイム窩Mohrenheimsche Grubeに相当している.ここを通って橈側皮静脈が鎖骨下静脈に向って走る.この両筋の相対する縁が完全に融合して三角筋と大胸筋とが単一のものになっていることもある.また三角筋大胸筋三角が大胸筋の鎖骨部の欠如のためにはなはだ幅が広くなっていることがある,大胸筋の腹壁部は独立していることがある.Le Doubleによれば,M. pectoralis tertius, quartus, chondroepitrochlearisなどの名前で記載された過剰筋束はこれにほかならないという.これらの過剰筋束は大胸筋の外側縁・最下部の肋軟骨・腹筋の筋膜から起って,尺側上腕二頭筋溝で上腕筋膜・上腕骨の尺側顆に終っている.

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