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解剖学 - 筋系 - 船戸和弥のHP

 

船戸和弥のHP」の「Rauber-Kopsch解剖学」の長掌筋の解説の引用文

 

 変異(日本人における長掌筋の欠如は,男211体側のうち8体側(3.8%),女94体側のうち4体側(4.3%) (小金井),また154体側のうち5体側(3.2%) (松島)という(小金井良精,新井春次郎,敷波重次郎:東京医学会雑誌,17巻,127〜131,1903;松島伯一:実地医家と臨床,4巻,67〜69,1927),またアイヌ人ではその形が日本人のものに似ていて,ヨーロッパ入とははなはだ異なる(佐野好:福岡医科大学雑誌,24巻, 54〜57,1931).):この筋はしばしば欠けている.しかし手掌腱膜が欠けていることは決してない.この筋が腱性の1つの条によって代られていることがあり,あるいは完全に筋性となっていることもある.筋と腱との分布について考えられる可能性がみな現われている.すなわち腱が上方にあって,筋腹が下方にあるもの,また上方と下方とが筋性であって,腱が中央にある場合がある.この筋は普通には両端が腱性で,中央部が筋性である,2頭性のもり,あるいは重複しているものが時としてある.その起始は次のようになっていることがある.すなわち上顆より上方では尺側筋間中隔,上腕二頭筋,上腕筋から,また上顆より下方では尺骨の烏口突起,橈骨あるいは前腕の筋に始まっていることがある.その停止は前腕の筋膜,前腕骨間膜,舟状骨,豆状骨,母指外転筋にみられる.