弾性系線維( だんせいけいせんい、英:elastic system fibers )

 

以下は「CiNii Research」に掲載されている解説文となる。

「弾性系線維(elastic system fibers)はコラーゲン線維とともに細胞外基質の主要な線維成分で,動脈,肺,皮膚,靭帯など弾性力を必要とする組織,器官に広く分布している。弾性系線維は形態学的観察より,エラスチンと微細線維(microfibril)から構成され,その比率により,微細線維のみから構成されるオキシタラン線維(oxytalan fiber),エラスチンの周囲と内部に多数の微細線維が存在するエラウニン線維(elaunin fiber),多量のエラスチンと少数の微細線維をもつ弾性線維(elastic fiber)の3種類に分類されている。

 【歯周組織における弾性系線維】は部位特異的な局在性を示すことが知られている。すなわち,歯根膜にはエラスチンの沈着を伴わないオキシタラン線維のみが存在するのに対し,歯肉には3つの弾性系線維すべてが存在する。弾性線維の形成機構,すなわちエラスチンの沈着機構は秩序だったいくつかの過程を経て進行する。まず微細線維が形成され,平行に配列した線維束を形成した後,その微細線維を足場に周囲のエラスチンが沈着する。そしてエラスチン沈着の増加に伴い,微細線維は相対的に減少し,エラウニン線維から弾性線維へと成熟していく。これらエラスチンの沈着過程では,fibrillin,MAGP,LTBP,fibulin,EMILINなどの微細線維関連分子が重要な働きをしていることが示唆されてきているが,その個々の性質,機能については充分に解明されていない。この総説では,弾性系線維に関連する分子について,これまで明らかにされた内容を概説してみたい。」