神経伝達物質  ( しんけいでんたつぶっしつ、英: neurotransmitter )

 

概 要
主な神経伝達物質

 

 

 中枢神経(脳から脊髄まで続く神経細胞の集合体)では神経細胞と神経細胞の間にはシナプスと呼ばれる約1000分の1㎜ほどの隙間がありシナプスと呼ばれている。ここにおける神経の刺激のやり取りを行う物質が神経伝達物質となる。

 

 「ウィキペディア」には以下のような解説文が見られる。

 「シナプス前細胞に神経伝達物質の合成系があり、シナプス後細胞に神経伝達物質の受容体がある。神経伝達物質は放出後に不活性化する。シナプス後細胞に影響する亜鉛イオンや一酸化窒素は広義の神経伝達物質である。ホルモンも細胞間伝達物質で開口放出し受容体に結合する。神経伝達物質は局所的に作用し、ホルモンは循環器系等を通じ大局的に作用する。アゴニストアンタゴニストも同様の作用をする。」

 

 

シナプス結合(全体)
シナプス結合(拡大)
神経細胞

 

 神経伝達物は

 


脳科学はまだまだ未解明の部分が多く、現在のところ50種類以上の神経伝達物質が確認されているが、その働きが分かっているのは20種類ほどと言われている。その中で精神活動に大きな影響を与えるものを表にした。下記の中でもドーパミンノルアドレナリンセロトニンの3つを「モノアミン神経伝達物質」と言い、脳内の多数の部位に大きな影響を与える。

 

名  称

主 な 特 徴

1

モノアミン

神経伝達物質

ドーパミン

快感、幸福感を生み、運動調整も行う。
(過剰)精神分裂病 (不足)パーキンソン、うつ病

2

ノルアドレナリン

意欲向上を促す。覚醒、集中、記憶、積極性、痛みを 感じなくするなどの働きがある。交感神経を刺激。血圧や心拍数を高める。(過剰)躁状態(不足)うつ病

3

セロトニン

落ち着きや安定感をもたらす。睡眠のリズムの調整
(過剰)錯乱、発熱、発汗(不足)てんかん発作、うつ病

4

ガンマアミノ酪酸(GABA)

不安や恐怖心を抑制する。アルコールなどによって作用 が高まる。 (不足)不安、不眠、てんかん発作

5

アセチルコリン

骨格筋心筋、内臓筋の収縮を促進する。副交感神経を刺激し、脈拍を遅くし、唾液の産生を促す作用もある。
(不足)アルツハイマー

6

グルタミン酸

非必須アミノ酸の一つだが、脳内では神経伝達物質として働く。記憶力と密接に関わる。
(不足)記憶力低下、痴呆、アルツハイマー

7

オピオイド
脳内麻薬様物質

エンケファリン、β-エンドルフィンなどを指す。阿片などの麻薬に極めて近い構造を持つ。
(過剰)精神活動の麻痺、感情鈍麻