以下は「日本人体解剖学」の解説文となる。
「固定液で固定された水晶体の前・後面には、新生児ではそれぞれ3つの放線からできる星像すなわち前水晶体星がみられる。各星の水晶体放線は互いに120°の偏差を示す。前水晶体星の鉛直放線は上方に、後水晶体星のそれは下方に向かい、両水晶体星は全く逆の方向を取っている。しかし成人では、3つの放線による星像は、水晶体核だけに見られ、外層には新放線が現れる。したがって、水晶体の表面には、複雑な6線以上の水晶体放線がみられる。 」
また「Rauber-Kopsch解剖学」では以下のように解説している。
「固定または浸軟した水晶体の前面と後面をみると,最も単純な場合には3つの方向に光を放つ星のような像が各面に1個ずつある.これが前および後水晶体星Stella lentis anterior, posterior, vorderer und hinterer Linsensternである(図641~643).各星のもつ3つの光芒は水晶体星放線Radii stellarum lentisとよばれ,たがいに120.の角度をなしている.前水晶体星は鉛直の放線を上方へ向け,後水晶体星はそれを下方へ向けている.水晶体の外方層にはなおそのほかに放線がみられることがふつうで,この場合には水晶体星は6本または9本の放線をもつものとなっている.水晶体星という像が出現するわけは,多数の水晶体線維の端のところがたがいに相接してぶつかる,いわば縫合線Nahtlinienのところが肉眼でみとめられるのである.」