細胞内液( さいぼうないえき、英:intracellular fluid

 

概 要
内 訳
無機塩類表
働 き
 

 

【概 要】

・細胞内は細胞内液で満たされ、その中に細胞小器官や核が存在している。

 (核の中にも液体(核液)があり、これも細胞内液の一部ということになる。)

  

年齢による細胞内液・細胞外液の比率の変化

 
年齢
細胞内液
細胞外液
コメント
1 新生児 少なめ(相対的に) 多め(相対的に) 新生児は体の表面積が大きく、細胞外液が多くなる傾向。
2 成人 標準 標準 体重の約60%が水分、ICFとECFはおおむね2:1
3 高齢者 減少 比率は相対的に増加 細胞内液が減る理由は筋肉量減少など。筋肉は水分を多く含むので、筋肉減少=ICF減少。

 

【内 訳】

  

【無機塩類表】

細胞内液と細胞外液の無機塩類比較表

 

   
イオン
細胞内液
細胞外液
コメント
1 陽イオン

Na⁺

(ナトリウム)

約 10–15 mEq/L
約 140 mEq/L
細胞外液で高濃度、浸透圧維持の主要因
2

K⁺

(カリウム)

約 140 mEq/L
約 4 mEq/L
細胞内で高濃度、膜電位維持に重要
3

Ca²⁺

(カルシウム)

約 0.0001 mEq/L (非常に低い)
約 2.5 mEq/L
細胞外で高濃度、神経・筋収縮に関与
4

Mg²⁺

(マグネシウム)

約 20–30 mEq/L
約 1–2 mEq/L
細胞内で多く、酵素活性の補助
5 陰イオン
Cl⁻(塩化物)
約 4 mEq/L
約 100 mEq/L
細胞外液で主要陰イオン
6
HCO₃⁻(重炭酸)
約 10 mEq/L
約 24 mEq/L
酸塩基平衡に重要
7
PO₄³⁻(リン酸)
約 75 mEq/L
約 1–2 mEq/L
細胞内で高濃度、ATPやDNAの構成要素
8
SO₄²⁻(硫酸)
約 1 mEq/L
約 1 mEq/L
細胞内外とも低濃度

単位:mEq/L(milliequivalents per liter)1 mEq/L は、1Lの溶液中に 1㎜当量のイオンがあることを意味

 

【働 き】

1. 化学反応の場
  代謝(解糖系・蛋白合成・細胞分裂など)のほぼ全ては細胞内液で行われる。
2. イオンバランス維持
  細胞内外の濃度差を利用して、 神経の興奮、筋収縮、物質輸送 が成立。

3. 浸透圧の調整
  細胞がしぼんだり膨らんだりしないように、細胞内外の浸透圧が一定に保たれる。
4. 物質の貯蔵
  糖(グリコーゲン)、脂肪滴、アミノ酸などの貯蔵場所でもある。