【概要】

【構 造】
細胞膜の構造は大きく以下の4つに分かれる。
細胞表層は複雑な構造となっていて、細胞ごとにその特徴が異なる。

■リン脂質二重層■


二重層:上層と下層の尾部が向かい合うように並び二重層を形成している。
働き)
・細胞の基本的な境界を作る
・選択的透過性を持ち、水溶性物質を遮断 流動性があり、膜タンパク質や小胞輸送を可能にする。
流動性に関して)

膜分子の新陳代謝:リン脂質の分子は主に小胞体で古いものと置き換えられる。置き換えられたものは細胞内で再利用されることも多い。
「膜が固体の板ではなく、分子が面内を動ける“液体のような性質”をもつこと」
その結果として
・膜タンパク質が機能できる。
・受容体や輸送体が集合・分散できる。
・膜の修復・融合・分裂が可能になる。

頭部の親水性(hydrophilic)が意味すること


・頭部と尾部の詳しい構造が分かるイラストを掲載しているサイト
■ 膜タンパク質 ■
〈貫通型タンパク質の働き〉
・物質の輸送(イオンチャネル、グルコース輸送体など)
・シグナル受容(GPCR、受容体型チロシンキナーゼ)
・細胞間接着(カドヘリン、インテグリン)
特徴:細胞外と細胞内の環境をつなぐ 構造的に膜にしっかり固定されている
〈周辺(末梢)タンパク質の働き〉
・シグナル伝達の仲介(例:キナーゼ、Gタンパク質)
・細胞骨格との連結(例:アクチン結合タンパク質)
・酵素の活性制御
特徴: 取り外し可能で可動性が高い 調節・情報伝達に向いている。
〈脂質アンカー型タンパク質の働き〉
・シグナル伝達(例:Ras、Src)
・膜上での局所的な集積・固定
・受容体や酵素としての機能保持
特徴:膜上で安定して存在 特定の膜領域で働くことが多い
■ 糖 鎖 ■
共有結合は圧倒的にタンパク質(糖タンパク質)が多い。
〈タンパク質との結合〉
1. 定義 : 糖鎖がタンパク質に共有結合しているもの
位置:基本的に 細胞外側に突き出す 構造
例:
N結合型:アスパラギン(Asn)の側鎖に糖鎖が結合 O結合型:セリン(Ser)やスレオニン(Thr)の側鎖に糖鎖が結合
2. 結合様式
① N結合型(N-linked)
・アスパラギンの側鎖のアミド基に結合
・糖鎖が枝分かれして複雑に伸びる
例:免疫グロブリン、受容体の外部ドメイン
② O結合型(O-linked)
セリンまたはスレオニンの水酸基に結合
・糖鎖は比較的短く単純
例:ムチン(粘膜の保護タンパク質)
3. どのタンパク質に結合するのか
・膜貫通型タンパク質:受容体(GPCR、チロシンキナーゼ型受容体など) イオンチャネルや輸送体
・周辺(末梢)タンパク質:
細胞骨格結合やシグナル伝達補助タンパク質
・脂質アンカー型タンパク質:脂質に結合する部分に糖鎖がつくこともある
〈脂質との結合〉
1. 脂質の種類
スフィンゴ脂質(スフィンゴミエリンなど) グリセロ脂質(少数)
2. 結合部位
脂質の水酸基やリン酸部分に糖鎖が共有結合
3. 存在場所
細胞膜の外層(細胞外側の脂質二重層) 通常は膜の表面に突き出している。
4. 機 能
セレクチンとの結合など細胞接着に重要 神経細胞や血液型抗原などに見られる。
※ 糖鎖は 基本的に細胞外側 にのみ存在
〈働 き〉
1. 細胞認識・識別
・自己/非自己の区別(免疫系)
・血液型抗原(A/B/O型は糖鎖の違い)
2. 細胞接着
他の細胞や基底膜との接着に関与
例:セレクチンとの結合
3. シグナル伝達
・受容体や膜表面分子の安定化
・成長因子やホルモンの認識補助
4. 保護・潤滑
・細胞表面を保護膜のように覆う
・酵素や機械的ストレスから膜を守る
■コレステロール■

・由来:滑面小胞体で産出され小胞輸送/非小胞輸送を経て細胞膜へ

・ステロイド核 : 平たくて硬い構造、尾部の動きを制限、膜の安定性・剛性の調節役
・ヒドロキシ基 : 親水性、リン脂質の頭部付近と相互作用、コレステロールの位置を固定するアンカー役
・炭化水素鎖 : 疎水性、尾部と絡み合う、膜内部での安定化・微調整
〈主な働き 〉
1. 膜流動性の調節 高温時 → 脂質が柔らかくなりすぎるのを抑える 低温時 → 脂質が固くなりすぎるのを防ぐ
2. 膜の安定化 脂質二重層を「つなぐ」役割 膜の厚みや剛性を調整
3. タンパク質の機能補助 膜貫通タンパク質や受容体の局所的な環境を整える 特定のシグナル伝達(ラフト領域内)に関与
4. 膜微小領域(リピッドラフト)の形成 コレステロール+スフィンゴ脂質で 膜の特殊なドメイン を作る シグナル伝達や膜輸送の足場になる。
< 流動性 >
細胞膜は流動性を持ち、脂質や膜タンパク質は動いている。


・リン脂質の尾部(炭化水素)が短いほど流動性は増す。
・膜内に存在するコレステロールが多いほど流動性は低くなる。
・二重結合を持つ尾部が多いほど流動性は増す。(二重結合があるとその部分の尾部が折れるため)
【疑問:「二重結合」とは向かい合っている尾部同士が結合することを意味していると思うのだが、正確なところは現時点では不明】
全ての膜タンパク質に流動性が見られるわけではない

⇒ 細胞骨格などのタンパク質と結びついている様子が良く分かるイラスト
【ChatGPTに聞いてみた】
Q:「膜を形成しているリン脂質は絶えず新陳代謝を繰り返しているのか?」
A:「はい。膜を形成しているリン脂質は、常に新陳代謝(合成と分解・入れ替え)を繰り返しています。
ただし、膜自体が壊れて作り直されるわけではありません。
① 何が「入れ替わっている」のか
入れ替わるもの
- リン脂質分子そのもの
-
脂肪酸鎖の組成
-
頭部基の種類(間接的に)
入れ替わらないもの
👉 「膜=固定物」ではなく
**「形を保ったまま分子が流れ替わる構造」**です。
② どのくらい動的なのか
1. 横方向の動き(側方拡散)
-
リン脂質は膜面内を秒単位で自由に移動
-
これは非常に速い
2. 分子レベルの新陳代謝
-
合成:ER・細胞質側
-
分解・再構成:ホスホリパーゼなど
👉 分〜時間〜日のスケールで更新される
③ どうやって入れ替わる?
合成
分解・再利用
-
ホスホリパーゼにより分解
-
脂肪酸や頭部は再利用されることも多い
④ なぜ新陳代謝が必要?
-
膜脂質は酸化・損傷を受ける
-
脂肪酸組成を変えて
-
シグナル伝達(PI → PIP₂ など)
👉 膜は「機能するために動的」である必要がある
⑤ 非対称性はどう保たれる?
リン脂質は勝手に内外を行き来しません。
👉 新陳代謝があっても内外の脂質分布は維持される」
【他の参考になるサイト】
・イラストを掲載しているサイト①
・イラストを掲載しているサイト②
・イラストを掲載しているサイト③
・イラストを掲載しているサイト④
・顕微鏡写真を掲載しているサイト