涙小管 ( るいしょうかん、英:lacrimal canaliculus ) 目頭の近く、上下のまぶた(眼瞼)の縁から始まっている細い管で、涙(液)を鼻(腔)まで導く涙道一部になる。 (右のイラストで青い部分が涙小管となる) 【もっと詳しく】 涙小管は、内眼角に近い方の上・下の眼瞼の内側の縁である後眼瞼縁にある涙点をその始まりとし、内側方に走って涙嚢に開口して涙(液)を運んでいる。 涙嚢への開口の仕方は、上下の涙小管が1つ合する場合と、それぞれ別々に開口する場合の2通りがある。 「日本人体解剖学」には以下のような解説文が見られる。 「上下の眼瞼に1本ずつあって、内側方に屈曲しながら合して1本の管となるが、別々に涙嚢に入る。」 また、「船戸和弥のホームページ」の「Rauber-Kopsch解剖学」では以下のような解説文になっている。 「上下2つの涙小管があって,相寄りながら内側へ走る.両涙小管の内側端が合して長さ0.8~2.2mmの短い共通の集合管をなし,これが涙嚢に注ぐ場合(図658)と,両涙小管が涙嚢の小さい陥凹部に別々に注ぐ場合とがある.」 《 管の走り方と太さ 》 「船戸和弥のホームページ」の「Rauber-Kopsch解剖学」では以下のような解説文が見られる。 「涙小管の初まりの部分は特有の鉛直方向の走り方をなす.つまり上のものは上方へ,下のものは下方に走る.この鉛直の部分とこれに続く水平方向の部分とは成人では弓状に移行しあっているが,胎児では両部分の境が鋭い折れ曲りを示している.涙小管は涙点で広い開口をもってはじまり,ついで著しく狭くなり,従ってロート状をしているわけである.ロートの狭くなった部分をすぎると,凸側に憩室形成を伴なって著しく広くなった部分がある.ここを涙小管膨大Ampulla ductuli lacrimalisといい,1mmの内径がある.次に続く水平方向の部分は長さが6~7mmあって,内側へ次第に狭くなり,ついに集合管(または直接に涙嚢)に注ぐところでは0.3mmの太さとなっている.内眼角から下の涙乳頭までの距離は6.5mm,上の涙乳頭までの距離は6mmであって,下涙小管の方がいくらか長い.眼瞼をとじると下涙乳頭は上涙乳頭の外側に位置する.両乳頭の先はいくらか後方に向き,同時に上のものは下方を,下のものは上方を向いている.」 《 詳細構造 》 「日本人体解剖学」には以下のような解説文が見られる。 「涙小管の上皮は、重層扁平上皮で、その周囲に結合組織性固有層および縦走横紋筋繊維束をもつ。」 また、「船戸和弥のホームページ」の「Rauber-Kopsch解剖学」では以下のような解説文が見られる。 「涙小管の上皮は10~12層の細胞からなる重層扁平上皮で,その厚さは120µである.その最深層は円柱状の細胞で,浅層の細胞は扁平である.」 【参考になるイラスト・写真】 ・イラストを掲載しているサイトⅠ(涙器全体、日本語の名称付) ・イラストを掲載しているサイトⅡ(涙器全体、英語の名称付) ・イラストを掲載しているサイトⅢ(涙小管拡大、涙小管閉塞の治療方法を表したもの?) ・人体標本の写真を掲載しているサイトⅠ(涙小管~鼻涙管) ・人体標本の写真を掲載しているサイトⅡ(涙小管部) ・人体標本の写真を掲載しているサイトⅢ(涙器全体) 【参考にしたサイト】 ・「船戸和弥のホームページ」の「Rauber-Kopsch解剖学」