この項は「船戸和弥のHP」の「筋膜」を参考にして作成している。
「人体における筋膜は、皮下組織(浅筋膜)と筋の筋膜(深筋膜)の2種に区別する。これらはいずれも皮膚と骨・筋との中間の位置に存在している。」
■ 皮下組織 ■
「皮下組織は疎性結合組織と脂肪組織が入り交じったものであり、皮膚と筋の筋膜とをつなぐ役割を果たす。頭部、後頸部、手掌、足底などでは浅筋膜内に多量の膠原線維が例外的に含まれており、皮膚と皮下組織との結合を強めている。また、眼瞼や耳介、陰茎と陰嚢、陰核などでは皮下組織に脂肪組織が伴っていない。」
■ 筋の筋膜 ■
「筋の筋膜は筋、その他の深部構造物を被う丈夫な、膜状の結合組織である。
・頚部では筋の筋膜が明瞭な層構造を示しており、そのような層構造が感染症の際の病原体の通過路を決定するというような重要な役割を演じる。
・胸部と腹部では筋の筋膜が、筋や腱の表面を被う薄膜となっているにすぎない。
・四肢においては筋の筋膜が筋、その他の構造物を包む丈夫な被膜となり、後者から伸びる線維性結合組織の隔膜(中隔)が四肢の内部を大きく区画する。関節部位では筋の筋膜はかなりの肥厚を示し、支帯とよばれる帯状構造をつくる。このような支帯は、その直下を走る腱を正しい位置に保持したり、腱の動きのための一種の滑車面を提供したりする役割を果たす。
・Fasciaというラテン語の意味は、ドイツ語のbundeすなわち物を包んだり結び合わせたりする帯のことである。
一般には筋を包んでいることが多いけれども、fascia parotidea耳下腺筋膜、fascia penis陰茎筋膜、fascia clitoridis陰核筋膜、fascia prostatea前立腺筋膜のように必ずしも筋と関連のない場合もあるので、「筋膜」という訳名は適当ではない。なお、米英系の解剖学では皮下の疎性結合組織をsuperficial fasciaと呼び、日本でいう筋膜のことをdeep fasciaと呼ぶ慣習がある。」