腱 鞘 ( けんしょう、 英:tendon sheath

 

 手や足などに見られる腱を包み込んでいるトンネル状の部分のことで、腱の動きを滑らかにしている。

 

【もっと詳しく】

< 構 造 >

 腱鞘は外層のトンネル状の線維膜と内層の袋状の滑膜の2つに分かれる。

 

 

【不明点】

 「日本人体解剖学」では「手の滑液鞘と線維鞘(腱鞘)」というタイトルがあり、これを「線維鞘=腱鞘」見て「滑液鞘と腱鞘」を区別しているのか、それとも「滑液鞘+線維鞘=腱鞘」と見て両方を同じものとしているかは今のところ不明である。また、「「船戸和弥の解剖学テキスト」の「滑液鞘」の解説では「(滑液鞘は)腱鞘とも(呼ばれる)。」という文が見られる。

 上記のイラストは「プロメテウス解剖学アトラス 」を参考に作成したものだが、「線維膜=線維鞘」「滑膜=滑液鞘」と見て、「線維鞘+滑液鞘=腱鞘」と見るべきなのだろうか…。

 

< 存在場所 > 「日本人体解剖学」を参考に作成

 

■ 手 ■

 背側の腱鞘は伸筋支帯の下面から手背に至っている。掌側の腱鞘に比べて一般的に小さい。背側も掌側もそれぞれ同名の筋の腱を通す。

背側 1 母指の長外転筋および短伸筋の腱鞘  
2 橈側手根伸筋の腱鞘  
3 (手の)長母指伸筋の腱鞘 橈側手根伸筋の腱鞘と交通する。
4 (総)指伸筋および示指伸筋の腱鞘  
5 小指伸筋の腱鞘  
6 尺側手根伸筋の腱鞘 尺側手根伸筋の停止腱と豆状骨との間
7 橈側手根屈筋の腱鞘 橈側手根屈筋の停止腱と舟状骨との間
8 短橈側手根伸筋(の滑液)包  
掌側 1

(手の)長母指屈筋の腱鞘

 
2 指屈筋の総腱鞘  
3 指の腱鞘 浅・深指屈筋のうち、第2~第4指のものは基節骨から末節骨に渡って独立しているが、母指および小指のものは長母趾屈筋あるいは指屈筋の総腱鞘と交通する。

 

 
 
 
   掌側
掌側の腱鞘のパターン
 
 
 

 

手背の腱鞘のイラストを掲載しているサイト

 

■ 足 ■

内果部
1
後脛骨筋の腱鞘 最も上方にあり、長趾屈筋の腱鞘の前上方に位置する。
2
長趾屈筋の腱鞘 後脛骨筋の腱鞘と長母趾屈筋の腱鞘の中間にあり、底側面では長母趾屈筋の腱鞘との交差部近くに終わる。
3
長母趾屈筋の腱鞘 最も下方にあり、長趾屈筋の腱の後下方を走り、母指の基部に至る。
外果部
1
腓骨筋の総腱鞘:

短腓骨筋の腱を共に通す。

注意)「プロメテウス解剖学アトラス 」では短腓骨筋の腱はそれぞれ別々の腱鞘を通っているように思われる。

2
長腓骨筋の足底腱鞘 底側面では長足底靭帯の前方端を前内側方へ走る。
足背部
1
前脛骨筋の腱鞘 最内側にある。
2
長母指伸筋の腱鞘 中間にある。
3
長趾伸筋の腱鞘 外側にあり、長趾伸筋と第3腓骨筋の停止腱を含む。
足の滑液鞘 長・短母指屈筋ならびに長・短趾屈筋の腱は、それぞれ第1~第5指の底側面で共通の滑液鞘に包まれる。これを(足の)指の腱鞘という。手の指の場合と同様の構造を示すが、測定の滑液鞘とは連絡していない。
 
 
内果部
外果部
足背部
 
 

 

【参考になるサイト】

解剖学的写真を掲載しているサイト