1. 定義
- 組織の「支持・基盤」を作る細胞の総称
- 上皮や血管、造血細胞などの機能細胞を支える結合組織由来の細胞
- 骨髄では特に、造血幹細胞(HSC)を支える微小環境の構成要素として重要
2. 骨髄における間質細胞の種類
- 骨髄間質細胞(bone marrow stromal cells, BMSCs)
- 骨芽細胞や脂肪細胞、線維芽細胞などに分化可能
- 骨髄内でHSCの維持・自己複製・分化を支援する
- 血管周囲間質細胞(perivascular stromal cells)
- 血管性ニッチの構成要素
- SCF(stem cell factor)、CXCL12など造血支持因子を分泌
- 骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem/stromal cells, MSCs)
- 骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞などに分化可能
- 骨髄内の造血環境を調整
3. 主要な機能
- 造血幹細胞の維持・支持
- 細胞外マトリックス(ECM)の産生
- サイトカイン・成長因子の分泌
- 骨・脂肪・軟骨細胞への分化
4. まとめ
- 間質細胞 = 組織の支持・基盤を作る細胞
- 骨髄では特に、造血幹細胞を支える微小環境(ニッチ)の重要な構成要素
- 骨芽細胞性ニッチ・血管性ニッチにおける骨芽細胞や血管周囲細胞も間質細胞の一種と考えられる
5. 体中に存在するのか?
はい、間質細胞は体中のほとんどの組織に存在するが、組織によって種類や機能が異なる。
a. 全身への分布
- 骨髄:造血幹細胞を支える骨髄間質細胞(BMSCs)や血管周囲間質細胞
- 結合組織(皮膚、腱、靭帯など):線維芽細胞などが支持・修復に関与
- 内臓臓器(肝臓、腎臓、肺など):臓器間質(interstitial cells)として臓器構造を支える
- 血管周囲:血管周囲間質細胞(pericyte)として血管を支え、血流・血管安定化に関与
b. 共通する特徴
- 組織の構造的支持を担う
- 細胞外マトリックス(ECM)を作る
- 必要に応じて修復・再生に関与する
c. 注意点
- 「間質細胞」という言葉は非常に広義で、組織ごとに名前や機能が変わる
- 例:骨髄 → 骨髄間質細胞(BMSCs)
- 例:血管周囲 → ペリサイト(pericyte)
- 例:臓器間質 → 線維芽細胞など
