1. 定義
- 間葉系組織は、胚発生期に存在する 間葉系細胞からなる結合組織の原基
- 主に 胚の中胚葉由来
- 多くの結合組織・骨・軟骨・血管系の元になる組織
簡単に言うと:
「体の骨格や結合組織を作る、発生期の未分化結合組織」
2. 主な特徴
| 特 徴 |
説 明 |
細胞形態 : |
紡錘形(spindle-shaped)、少ない細胞間基質 |
細胞密度 : |
比較的まばら、未分化で移動可能 |
分化能 : |
骨、軟骨、結合組織、血管平滑筋、脂肪細胞などに分化可能 |
基質 : |
コラーゲンやプロテオグリカンを少量含むゼリー状基質(mesenchymal matrix) |
3. 発生上の役割
- 胚の中胚葉から発生
- 下記の組織・臓器の原基となる
- 骨(骨膜・骨芽細胞系)
- 軟骨(関節、気管など)
- 筋肉や血管系
- 結合組織(皮膚の真皮など)
- 脂肪組織
4. 間葉系組織と間葉系幹細胞(MSC)の関係
- 間葉系組織:組織そのもの(未分化の結合組織)
- MSC:その組織に存在する 多能性幹細胞
- つまり MSC は 間葉系組織の中の「幹細胞」成分 と考えられる
5. 成人における間葉系組織の例
- 骨髄間質(marrow stroma)
- 骨膜(periosteum)内層
- 脂肪組織
- 筋膜や腱・靭帯の結合組織
成人では発生期のような未分化の“間葉系組織”は少ないが、間葉系幹細胞(MSC)が存在する場所=間葉系組織の残存的構成 とみなせる
💡 まとめ
- 間葉系組織は胚の発生期における 骨・軟骨・結合組織の原基
- MSC はこの間葉系組織から分化したり、そこに残存して骨や軟骨に分化する前駆細胞
- 骨膜や骨髄の内層など、成人でも間葉系組織由来の細胞群が存在する
