鼻涙管 ( びるいかん、英:nasolacrimal duct

 

・「主に上顎骨の骨内にできた長さ約1.5~2㎝の管」(日本人体解剖学)

  

 骨により回りを囲まれた空間(骨性の鼻涙管)の中に粘膜でできた鼻涙管が存在している。

 

【骨性の鼻涙管】

 

【粘膜性の鼻涙管】

船戸和弥のホームページ」の「Rauber-Kopsch解剖学」では以下のような解説文が見られる。

「 涙嚢の粘膜は骨膜にゆるく付着しているだけであるが,鼻涙管と骨膜の結合はそれより密である.とはいっても粘膜と骨膜とは,下鼻甲介の静脈叢の続きをなす密な静脈叢によってたがいにへだてられているのである. 」

「涙嚢の粘膜も鼻涙管の粘膜も,その結合組織性部分が,多数のリンパ球をもつ細網性結合組織(その発達の程度はまちまちであるが)でできている.涙嚢から鼻涙管の開口にいたるまで粘膜上皮は部分的に線毛をもつ背の高い円柱上皮であって,その基底部に補充細胞Ersatzzellenがある.また杯細胞Becherzellenがしばしばみられる.鼻涙管の下部には粘液腺が存在するが,上部では個体によってあったりなかったりする. 」

 

《 形状など 》

・長さ:個人さが大きいようで、資料によってもまちまちなところがあり、だいたい「12㎜~24㎜」。

・「日本人体解剖学」には、「涙嚢よりも太く」という説明が見られるが、ネットで画像検索をかけてみたとき、鼻涙管を涙嚢よりも太く描いているイラストはほとんどなく、多くの場合は、鼻涙管は涙嚢よりも細くなっているが、中には鼻涙管の方が大きな人体標本の写真を掲載しているサイトも見受けられる。

 ⇒ 鼻涙管の方が大きな人体標本の写真を掲載しているサイトⅠ

 ⇒ 鼻涙管の方が大きな人体標本の写真を掲載しているサイトⅡ

 

《 開口部 》

・外鼻孔からだいたい30㎜~35㎜のところで下鼻道に開口している。

・「Rauber-Kopsch解剖学」より

「開口が骨性鼻涙管の開口と同じ高さにあるときには,その口が広くて縁が鋭いことがある.開口がもっと下方にあるときには,鉛直方向の裂け目になっていることが普通である.鼻涙管の下端が盲端をなしていることがあり,その場合には側方の開口が生じうる.また両方の開口が同時にみられることもある.」

 

鼻涙管ヒダ(lacrimal fold):「Rauber-Kopsch解剖学」より(上の解説の続き)

「開口より下方にさらにつづいて,1本の粘膜の溝がかなり長く伸びていることが稀でない.開口を内側から被う粘膜葉がよく発達しているときには,これを鼻涙管ヒダ(Plica ductus nasolacrimalis)とよぶ.これは弁(ハスナー弁)をなして呼気のときに閉じ,吸気のときには開く. 」

いくつかのパターンの鼻涙管の開口部のイラストを掲載しているサイト

 

 

 

【参考になるイラスト・写真】

イラストを掲載しているサイトⅠ(鼻道の各器官の長さの表示有)

イラストを掲載しているサイトⅡ(鼻道の各器官の長さの表示有)

イラストを掲載しているサイトⅢ(日本語での各器官の表示有)

人体標本の写真を掲載しているサイトⅠ

人体標本の写真を掲載しているサイトⅡ

開口部の人体標本の写真を掲載しているサイトⅠ

開口部の人体標本の写真を掲載しているサイトⅡ

 

【参考になるサイト】

・「船戸和弥のホームページ」の「Rauber-Kopsch解剖学

・ウィキペディア